2021 Fiscal Year Research-status Report
脳組織に定着した神経細胞内における認知症病原タンパク質のMRI解析
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20K07000
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
武田 光広 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (90508558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 壮佐 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 講師 (00448515)
寺沢 宏明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (10300956)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞内において、αシヌクレイン(αSyn)蛋白質が重合して生じるオリゴマーは、強い毒性を示し、レヴィ小体型認知症の発症要因となる。そのため、生理条件下の αSyn に関する構造研究は、病態解明や創薬に極めて重要である。細胞内において、αSyn の構造が変化することが、培養細胞に導入した αSyn の NMR 研究より、報告されている。しかし、脳組織に定着した状態の細胞内における、αSyn の構造研究は、前例が無い。本研究は、組織に定着した神経細胞内の αSyn の構造解析の基盤構築を目的として、細胞外基質に埋包した細胞の中、生きたマウスの脳に移植した細胞の中およびマウスの摘出脳の細胞中において、13C 標識を施した αSyn を、磁気共鳴スペクトロスコピー法(MRS)を用いて観測する系を確立することを展望している。第1ステップとして、αSyn を培養細胞に導入して、導入細胞を細胞外基質に埋包することを計画している。 令和3年度は、培養細胞に対するαSyn の導入率を向上させることを目的として、電気穿孔法の導入条件を検討した。濃度、電気穿孔法パルスの電圧値の最適化を進めた。15N 標識したモデルタンパク質として、ユビキチン変異体をHeLa細胞に導入後、導入細胞を破砕して細胞内に導入されたタンパク質の濃度をNMRにより定量した。細胞へのタンパク質導入についてノウハウを持つ研究者と意見交換をしながら条件検討のに見直しを行い、最終的にユビキチンンタンパク質を 50 マイクロモルのオーダーで導入する条件を確立した。神経細胞内の αSyn の濃度は 20~40 マイクロモル と報告されている(Nature, 530, 45-50 (2016))。αSyn についても同等の濃度で導入することで、生理的に近い細胞内環境を再現できると期待される。、
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、aSynを導入した細胞を細胞外基質に埋包することを計画していたが、細胞へのタンパク質の導入効率が不十分であり、生理的な濃度を達成できない状況が続いていた。細胞へのタンパク質導入については、論文等に記載されていないノウハウが把握できず、導入率の改善に大きな時間を要した。In-cell NMR 法について経験を持つ研究者と意見交換を重ね、導入率の改善に至ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
培養細胞に対して、aSyn の生理濃度に近い濃度でタンパク質を導入する条件を確立できたので、実際に、aSyn を導入してその細胞内濃度を評価する。また、細胞外基質にaSynを導入した細胞を埋包した状態でNMR観測が可能か検討する。
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Causes of Carryover |
当初予定した細胞の基質埋包実験を次年度に先送りしたため、消耗品費が予定より40万円ほど少なくなった。次年度に先送りした実験を行う予定である。
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