2022 Fiscal Year Annual Research Report
脳組織に定着した神経細胞内における認知症病原タンパク質のMRI解析
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20K07000
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
武田 光広 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 助教 (90508558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉永 壮佐 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 講師 (00448515)
寺沢 宏明 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (10300956)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
神経細胞において、αシヌクレイン(αSyn)蛋白質が重合して生じるオリゴマーの一部は、強い毒性を示しレヴィ小体型認知症の発症要因となる。そのため、生理条件下の αSyn の毒性オリゴマーに関する立体構造に関する情報は、認知症発症機構の解明や創薬において極めて重要な研究対象となる。細胞内において、αSyn の構造が変化することが、培養細胞に導入した αSyn のNMR 研究より報告されている。そのため、生理条件においてオリゴマーも試験管内と異なる動態構造をとる可能性が考えられる。本研究は、組織に定着した神経細胞内のαSyn の構造解析の基盤構築を目的として、細胞の中、生きたマウスの脳に移植した細胞の中およびマウスの摘出脳の細胞中において、13C 標識を施した αSyn を、磁気共鳴スペクトロスコピー法(MRS)を用いて観測することを展望している。その最初のステップとして、培養細胞にαSynを導入してNMR観測するIn-cell NMR実験系を確立する。 令和4年度は、令和3年度に引き続き、αSynの哺乳培養細胞への導入法の最適化を進めた。電気穿孔法を利用してHeLa細胞にαSynを導入するため、用いるαSyn タンパク質試料の精製度を向上させるとともに、電気パルスを与える際の電気伝導度の調整を進めた。また、細胞にαSynのモノマーだけでなくオリゴマーも導入することを考えて、オリゴマーの試験管内における生成条件の探索を実施した。試験管内で生成した毒性オリゴマーを細胞内に導入して凝集制御化合物を細胞に与えることで、細胞内環境下のオリゴマーに対して薬効を示す薬剤のスクリーニングが実現すると期待される。
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