2020 Fiscal Year Research-status Report
Design of fluorescent probes for dynamic analysis of polysufides and proteins modified by polysulfidation
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20K07006
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 初男 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (00229311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 効司 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (00454794)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポリスルフィド / 蛍光プローブ / 硫化水素 / 二硫化二水素 / 活性酸素種 |
Outline of Annual Research Achievements |
2-nitrobenzenesulfonyl fluorescein (1a) が 4-nitrobenzenesulfonyl fluorescein (2b) に比べて、ポリスルフィド蛍光プローブとして優れた蛍光特性を示すことを既に見出している。そこで、1a の 2-nitrobenezenesulfonyl 基の 4 位に電子吸引性基 CF3、Cl または電子供与性基 CH3、CH3CH2O を導入したプローブ候補化合物(それぞれ 1b、1c、1d、1e)を合成した。合成した 1b~1d または 1a(10 μM)に、Na2S2 (50 μM)、Na2S (100 μM) または GSH (8 mM) を加え 20 分間反応させた後、蛍光シグナルを、励起波長 485 nm、蛍光波長 520 nmにて測定した。これらの反応はすべて Na2S2 の分解を防ぐため界面活性剤 CTAB (25 μM) を含む pH 7.4 の PBS 緩衝液中にて行った。その結果、1a と電子供与性基を導入した 1d と 1e は選択的に Na2S2 に対して蛍光応答を与えた。ただし、その応答性つまり蛍光増大率は 1a が顕著に高かった。一方、電子吸引性基を導入した 1b と 1c は、Na2S2 だけでなく Na2S に対しても蛍光応答を与えた。 次に、Cys、Na2S2O3、Na2SO3、次亜塩素酸、過酸化水素、スーパーオキシド、ヒドロキシラジカルまたは一重項酸素の共存下における Na2S2 に対する 1a の応答性を検討した。その結果、これらの硫黄化合物や活性酸素種の妨害を受けることなく、選択的に Na2S2 に対して蛍光応答を与えることが明らかになった。 以上の結果から、応答性ならびに選択性の観点から 1a が最も実用的なポリスルフィド蛍光プローブとしての特性を有することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、1a の 2-nitrobenezenesulfonyl 基の 4 位に置換基を導入した類縁化合物を合成し、それらのポリスルフィド蛍光プローブとしての特性を評価できたため、計画通りに順調に本研究は進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞系への応用性を検討するために、1a の細胞膜透過型蛍光プローブ・アセチル化体 3a およびアセトキシメチル化体 4a を合成する。これらを HeLa 細胞に負荷した後、Na2S2 を培養液に添加し、蛍光顕微鏡で細胞内ポリスルフィドの蛍光イメージングを試みる、Na2S2 非添加時および Na2S 添加時に得られる蛍光イメージング象と比較検討することにより、3a と 4a の細胞内ポリスルフィド蛍光プローブとしての実用性を検証する。この検証過程において、必要とあれば、2020 年度の知見に基づき、1a の化学構造を最適化する。 一方、シグナル伝達にポリスルフィド化タンパク質が関与していることが明らかになり、血中ポリスルフィド化タンパク質の解析が重要になってきている。そこで、 H2S を用いてポリスルフィド化したアルブミンに対する 1a の応答性についても検討する。
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Causes of Carryover |
COVID-19 禍により参加発表を予定していた学会がキャンセルされたり、オンラインにて実施されたため、2020 年度は学会発表を差し控えた。その結果、旅費としての予算を全く執行できなかったことが、次年度使用額が発生した大きな要因であると考えている。なお、物品費について概ね予定通りに執行できている。
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