2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a fully automated online simultaneous analysis method of steroid hormones and its application to metabolomics
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20K07007
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Research Institution | Shujitsu University |
Principal Investigator |
片岡 洋行 就実大学, 薬学部, 教授 (80127555)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ステロイドホルモン / 硫酸抱合体 / メタボロミクス / バイオマーカー / オンライン自動分析 / 固相マイクロ抽出法 / LC-MS/MS分析 / ストレス評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、(1)ストレス応答ステロイドホルモン類のポラリティ―スイッチングLC-MS/MSによるオンライン自動分析法と、(2)4種の硫酸化ステロイド代謝物の安定同位体希釈法に基づくオンラインインチューブ固相マイクロ抽出(IT-SPME)/LC-MS/MS法を確立した。 (1)ストレスは様々な疾患発症の引き金となることから、ストレス刺激に対して応答するコルチゾール(CRT)、テストステロン(TES)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)とその硫酸抱合体(DHEAS)のIT-SPME条件を最適化し、ネガティブ/ポジティブイオンモードLC-MS/MSと連結して同時分析する高感度オンライン自動分析システムを構築した。本法を非喫煙者及び喫煙者の唾液及び尿試料分析に応用し、タバコ煙曝露によりDHEAS とCRT含量が曝露直後に減少し、その後上昇することからタバコ煙曝露は一過性にストレスを緩和することを明らかにした。 (2)ステロイドの硫酸化は、ステロイドホルモン類の生合成とフィードバック制御に重要な役割を果たしていることから、プレグネノロン(PRG)、CRT、DHEA及びエストラジオール(E2)の4種の硫酸化ステロイド代謝物のIT-SPME/LC-MS/MS分析法を確立した。IT-SPMEにはSupel-Q PLOTキャピラリーを用い、pH 3で25回繰返し吸入/吐出する時、効率よく抽出できた。いずれの化合物もInertSustain C18カラムで6分以内に一斉に分析でき、ESIネガティブモードMRM検出によりpgレベルの感度で、0.01~10 ng/mLの範囲で良好な直線性と再現性を示した。本法を用いて唾液試料は限外ろ過するだけで分析できた。 開発したIT-SPME/LC-MS/MS法は、選択的かつ高感度で非侵襲的に生体試料を分析できることから、ステロイド代謝解析に有用である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度に9種のステロイドホルモン類の一斉分析法を確立し、次年度には一部のステロイドホルモン類及び代謝物のIT-SPME/LC-MS/MS分析システムを構築してきたが、当初予定していたメタボローム解析のためのこれらの化合物の網羅的解析は十分に行えていない。またプリカーサーイオンスキャンによる未知代謝物マーカーの検索、乳幼児からの尿・唾液採取を容易にするための乾燥ろ紙サンプリング法については検討できていない。コロナ禍の中で、標準試薬の海外からの調達や施設の利用が難しく、学生協力者の支援が得られず実験の進行が遅れ、また共同利用しているLC-MS/MS装置の故障で約1ヵ月以上使用できなかったことも原因である。LC-MS/MS装置は本研究に不可欠のものであり、20年近く使用している機器の老朽化への対応は今後とも大きな課題である。 令和3年度は、利用できる標準物質を対象として、分析法の確立と生体試料分析への適用を中心に研究を進めてきたが、イオン化特性の異なるステロイドホルモン類と代謝物をポジティブ/ネガティブモードの切り替えで一斉に分析できる方法を開発し、微量の生体試料からストレス応答ステロイドホルモン類を分析してタバコ煙曝露とストレスとの関連性を解析するなど、興味ある研究成果も得られている。年度末までに、ようやく海外からの輸入試薬を入手できたので、現在分析対象ステロイドホルモン類を増やして一斉分析法の開発を進めるとともに、プリカーサーイオンスキャンによる未知代謝物マーカーの検索によるメタボローム解析法を検討しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
ステロイドホルモン類とそれらの代謝物をIT-SPME/LC-MS/MS法により、簡便迅速に高感度分析できることがわかったので、今後はこの手法を利用して、ステロイドホルモン類の種類を増やして一斉分析法を確立するとともに、スペクトル解析からこれらの化合物に共通するフラグメントイオンを検索して、プリカーサーイオンスキャンによる未知代謝物のスクリーニング法を検討する。これらの成果から、ステロイド代謝変化を網羅的に解析するためのプロファイルを作成する予定である。また、これらの手法を利用した乾燥ろ紙サンプリング法についても検討する。さらに、ストレス応答ステロイドホルモン類の分析については、クレペリンテストなどの精神的ストレスを実験的に負荷し、ハーブ、アロマ、カラー、音楽、入浴など五感を刺激するストレス軽減法を検討し、ステロイドホルモン類をバイオマーカーとしたストレスやヒーリングへの影響を解析する。その他、研究が順調に進めば、当初予定していた合成ステロイド剤や食品中のステロイド関連化合物がステロイド代謝に与える影響を網羅的に解析していきたい。 令和4年度は本研究の最終年度に当たるので、成果を取りまとめて論文を執筆し、インパクトのある国際的なジャーナルへ投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
ステロイドホルモン類の標準品が海外にしかなく輸入に時間がかかったことと、LC-MS/MS装置が一定期間故障して修理までに時間を要したことにより、予定していた実験ができず次年度に繰り越す必要が生じたこと、またコロナ禍の影響で、学会発表はしたもののいずれもオンラインであり、出張費の支出がなかったためである。繰越額は、次年度予算と合わせて、試薬購入費、機器の修理費、論文校正、論文のオープンアクセスへの費用、研究発表のための出張経費など、計画的に使用する予定である。
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Research Products
(13 results)