2020 Fiscal Year Research-status Report
免疫刺激によるシングルドメイン抗体の親和性成熟と抗原抗体複合体の物性変化の解明
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20K07009
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
赤澤 陽子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50549897)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知成 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50273488)
萩原 義久 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 副研究部門長 (50357761)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗体 / 抗体-抗原複合体 / 構造安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫刺激による抗体産生機構の研究は古くから活発に行われている一方で、焦点は免疫学的機構や親和性成熟に当てられており蛋白質工学的な視点での研究は少ない。IgG抗体は軽鎖と重鎖の組合せを考慮する必要があり、経時的な体細胞変異を解析するのは非常に難しく複雑であるが、シングルドメイン(VHH)抗体を利用することで組合せの考慮はなくなり解析が各段に容易となる。申請者らが独自に開発した「ヒット抗体予測システム」(ラクダ科動物アルパカへの抗原免疫と次世代シークエンサー解析を組み合わせたシングルドメイン抗体(VHH抗体)取得技術)により、ある蛋白質抗原を免疫した場合のNGS解析データから、クラスター(類似配列を有する集団)を形成する多数の抗体配列を取得しており、これらを時系列に比較することでアミノ酸変異の物性影響を包括的に評価できると考える。また、本研究では、特に免疫刺激による親和性成熟とフレームワーク領域の変異を通じた蛋白質の性質(物性)の成熟について明らかとしたい。 本年度は、既に取得済のNGS解析データからあるクラスターの配列集団のなかから異なる出現時期のVHH抗体配列を選出した(免疫初期 10配列、中期 21配列、後期 19配列 計50配列)。選出した50配列のうち24配列について、大腸菌によるVHH抗体の作製と抗原結合の評価を行った。免疫初期・中期に出現した抗体に比べ、免疫後期に出現した抗体の結合親和性は高い傾向が認められ、さらに、一部の配列集団では酸による抗体ー抗原結合の解離が難しく、非常に強固に結合する抗体も認められた。 また、上記とは異なる2つのクラスターにおいて、VHH抗体の作製と抗原結合能の評価を実施した結果、出現時期と抗原結合能に相関が得られた。本結果については英文誌への投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3つのクラスターにについて選抜したVHH抗体の作製と抗原結合能の評価を行い、免疫過程と抗体の親和性成熟について検討を行った。次年度は未作製の抗体の評価と物性評価について検討を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
未作製のVHH抗体を26種の作製と結合評価を行う。また、フレームワーク領域による結合能への影響について検討や、特に結合の良好であった抗体については抗原ー抗体複合体の安定性を評価し、それらを初期配列と比較することで、アミノ酸変異の物性影響を評価したい。
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Causes of Carryover |
未作製のVHH抗体の遺伝子合成に必要な費用の一部を翌年度に使用する。
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