2021 Fiscal Year Research-status Report
分泌因子Neudesinの免疫抑制メカニズムの解明と新規がん免疫療法の開発
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20K07025
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
増田 有紀 神戸薬科大学, 薬学部, 講師 (40421284)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 守周 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00322165)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん / 樹状細胞 / IL-12 / 解糖系 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに我々は、neudesin が樹状細胞 (DC) の活性を抑制し細胞性免疫を制御する可能性を見出した。近年、酸化的リン酸化から解糖系への代謝転換 (代謝リプログラミング) によって DC が活性化し、サイトカインや共刺激分子の発現を増強することが報告された。そこで、DC における neudesin の抑制作用について、解糖系の関与を検討した。 野生型(WT)と neudesin ノックアウト(KO) マウスから採取した骨髄細胞を DC へ分化させた。その後、両マウス由来の DCを LPS (10 ng/mL)、組換え neudesin タンパク質 (200 ng/mL)で24時間刺激した。その結果、LPS 刺激によって濃度依存的にグルコース消費、乳酸産生量の増加が見られたが、それぞれ WT と比較してKOで有意に増加していた。またLPS 刺激に対して同時にneudesin の添加を行うと KO での増加が抑制されたことから、neudesin が解糖系を抑制する可能性が示唆された。そこで、 LPS 刺激条件において解糖系関連遺伝子 Glut1、Ldha について検討したところ、WT と比較して KO で有意な増加が見られ、neudesin 添加によって抑制された。サイトカイン Il12a、Tnfa、Ifnb、Il10、共刺激分子 Cd86、NO 合成酵素Nos2 についても同様の結果が得られた。一方解糖系阻害剤である 2-DG (2.5 mM) を添加することで、 KO で認められた LPS によるサイトカイン発現の増加が失われた。 Neudesin はDCに自己分泌的に作用し、LPS 刺激による解糖系の亢進を抑制することが示唆された。この抑制効果により、抗原提示能やサイトカイン産生を抑制することで、がん免疫を制御する可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Neudesinは樹状細胞の解糖系を抑制することで自身の活性を制御し、がんの成長に寄与する可能性が明らかになった。 以上のように、当初の計画どおりに実験が進み、Neudesinの免疫システムに対する抑制メカニズムが明らかになりつつあるため、研究はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Neudesinは樹状細胞の解糖系を介してその活性を制御することが明らかとなった。樹状細胞はがん抗原を取り込むとリンパ節へ遊走し、ナイーブT細胞に抗原提示を行い活性化させる。これはがん免疫応答を誘導する重要なプロセスである。そこで、Neudesinが樹状細胞の遊走能及びT細胞誘導能に影響を与えるかどうかについて検討を行う。 また、Neudesinががん抗原特異的免疫応答に与える影響について調べるために、OVA発現EG7細胞を野生型及びNeudesin KOマウスに移植しOVA特異的CD8 T細胞の誘導を確認する。
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