2022 Fiscal Year Annual Research Report
スプライソソーム形成障害を標的とした低分子薬の探索と解析
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20K07028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
米田 宏 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (60431318)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スプライシング / スプライソソーム / CDK9 / snRNP |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はスプライソソームの機能を制御し、それにより疾患関連スプライシング異常を正常化する、もしくは疾患で機能異常となったスプライソソームの脆弱性を突くことで標的細胞を障害する活性を示す化合物を同定して、スプライシング異常が原因となる疾患治療の新たな方策を開発することを目的とした。我々はこれまでにスプライソソームのサブユニットであるsnRNPの細胞内量を検出するためのレポーターアッセイを構築し、そのアッセイを用いて化合物ライブラリーのスクリーニングを行なってきた。ヒット化合物のいくつかはsnRNPレポーターの活性を増減させるだけでなく、変異導入したスプライス部位を持つレポーター遺伝子のスプライシングを正常化する活性を示していた。その中の一つとして、BAY61-3606を同定し、この化合物がレポーター遺伝子のスプライシングに与える影響だけでなく、トランスクリプトーム全体に与える影響を解析した。その結果、配列の保存性に基づくスプライソソームによる認識強度の予測スコアが低い、通常はスプライシングに使われないスプライス部位でのスプライシングがこの化合物により増加することを明らかにし、報告した。また、この化合物の活性増強した類縁化合物について比較検討を行い、スプライシングを調節活性の作用点を検討した。BAY61-3606はCDK9阻害活性が報告されており、CDK9は転写の伸長効率をRNAポリメラーゼIIのC末端部のリン酸化を介して増強する。このCDK9による転写速度の調節は転写と共役して起こるスプライシングのパターン変化につながることから、BAY61-3606の作用もCDK9阻害により転写に影響した結果である可能性を検討した。しかし、検討の結果、その作用は単純な転写への影響では説明できないことが明らかとなり、現在、さらに研究を進めている。
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