2021 Fiscal Year Research-status Report
ヒトiPS細胞から作製した腸管細胞を用いた消化管傷害の評価系の開発
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20K07034
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岩尾 岳洋 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (50581740)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 消化管 / 粘膜傷害 / iPS細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は二次元化腸管オルガノイドを陰窩-絨毛様構造を有したまま比較的長期間培養が可能な培養条件を見出すことができた。また、これまでの方法で長期間の培養を行った際は、培養期間が長くなるにつれ、経上皮電気抵抗値(TEER値)の急激な上昇が認められたが、改良した新規培養法で培養した場合には、この急激なTEER値の上昇は認められず、比較的TEER値が安定したまま培養することができた。遺伝子発現については、villin(小腸上皮細胞マーカー)、 lyzyme(パネート細胞マーカー)、Ki67(増殖性細胞マーカー)、LGR5(腸管幹細胞マーカー)のいずれの遺伝子も、ヒト成人小腸より高いレベルで発現していた。以上のことから、本年度見出した新規培養法で二次元化腸管オルガノイドを培養することで、密度の高い陰窩-絨毛様構造を長期間維持したまま培養が可能となることが示唆された。これにより、短時間の評価だけでなく、長期間の化合物の曝露等による粘膜障害の評価にもこの二次元化腸管オルガノイドが利用できるようになるものと考えられる。さらに本年度は、この二次元化腸管オルガノイドが化合物による粘膜障害の評価に利用可能であることが示唆される知見を得ることもできた。この得られた知見より、粘膜障害の評価に適した指標を明らかにする必要があることが考えられ、これは今後の課題と考えられる。免疫細胞との共培養や免疫系の影響による粘膜障害の評価に向けては今後さらに検証を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二次元的に培養した腸管オルガノイドの形態を維持したまま比較的長期間培養可能な方法を見出すことができた。二次元化腸管オルガノイドを用いた消化管障害の評価についての研究を進めることもできた。
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Strategy for Future Research Activity |
株化された免疫細胞と腸管細胞との共培養が可能な培養条件について検討を行い、共培養の系における粘膜障害の評価に向けて研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究に使用する器具や試薬類の供給が一部滞ったこともあり若干の残額が生じた。 (使用計画) 残額は次年度の請求額と合わせて必要な消耗品の購入に使用する予定である。
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