2022 Fiscal Year Annual Research Report
エリスロポエチン受容体結合分子を介した慢性骨髄増殖性腫瘍の発症機序の解明
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20K07035
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
多胡 めぐみ 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 教授 (30445192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性骨髄増殖性腫瘍 (MPN) / JAK2V617F変異体 / エリスロポエチン受容体 (EpoR) / DDX5 / STAT5 |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性骨髄増殖性腫(myeloproliferative neoplasm; MPN)の原因遺伝子産物として、チロシンキナーゼJAK2の点変異体 (V617F) が同定されている。これまでに申請者らは、JAK2V617F変異体が、結合するエリスロポエチン受容体 (EpoR) の細胞内ドメインに存在する3個のチロシン残基(Y343、Y460、Y464)のリン酸化を介して、転写因子STAT5の活性化を誘導し、細胞増殖や腫瘍形成を誘導することを明らかにしてきた。本研究では、JAK2変異体-EpoR-STAT5を介して発現が誘導された遺伝子やEpoR結合分子に着目し、JAK2V617F変異体の発がん誘導機構の解明を目指した。これまでに、サイトカイン抑制因子CISがEpoRに結合し、JAK2V617F変異体の形質転換を抑制する分子機構を明らかにした。最終年度では、JAK2V617F変異体の下流で、STAT5の活性化を介して発現が誘導されるRNAヘリカーゼDDX5に着目し、DDX5を介した発がん誘導機構を解明することを目指した。JAK2V617F変異体は、STAT5の活性化を介して、DDX5 mRNAの発現誘導だけでなく、DDX5タンパク質の安定化を促進することを明らかにした。また、shRNAを用いた実験を行い、DDX5はJAK2V617F変異体による細胞増殖や腫瘍形成に必須の役割を果たすことを見出した。さらに、DDX5のノックダウンは、JAK2V617F変異体の活性やSTAT5、ERK、Aktの活性化には影響を及ぼさなかったが、mTORおよびその基質であるp70S6Kや4E-BP1のリン酸化を顕著に抑制することを明らかにした。以上の研究を通して、DDX5が新規のMPN治療標的となる可能性を示した。
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Research Products
(11 results)