2022 Fiscal Year Annual Research Report
GPR35-medaited suppression of degranulation of mast cells
Project/Area Number |
20K07040
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田中 智之 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (40303846)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マスト細胞 / GPR35 / クロモグリク酸ナトリウム / 即時型アレルギー / 脱顆粒 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では抗アレルギー薬のひとつであるクロモグリク酸ナトリウム(DSCG)の標的分子と想定されているGPR35に着目し、その生化学的解析、および即時型アレルギーにおける機能について検討を進めている。GPR35は糖尿病をはじめとする代謝性疾患との関わりが注目されているが、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)としての基礎的な知見は限られている。2022年度は以下の知見を得た。 ・ラットマスト細胞株に構成的に発現させたGPR35は、アゴニスト刺激により速やかに内在化した。 ・同細胞では対照の細胞株と比較して高親和性IgE受容体の表面発現レベルには相違がなかった。 ・同細胞では、小胞体Ca2+-ATPase阻害剤であるthapsigarginによる脱顆粒応答は対照の細胞株と同等のレベルで起こるが、IgEを介する抗原刺激による脱顆粒応答は低下していた。同じ条件下で、重合型アクチン量の変化もよく一致しており、抗原刺激による重合型アクチン量の低下は、GPR35発現細胞では小さかった。 研究期間全体の成果として、1)種差が小さく親和性の高いGPR35アゴニストを複数見出した、2)GPR35欠損マウスでは即時型アレルギー応答は野生型と相違がないが、GPR35アゴニストによる抑制作用は消失することを見出した、3)ラットマスト細胞株にGPR35を強制発現した細胞株を樹立し、抗原刺激による脱顆粒応答レベルが低下していること、一方でthapsigargin刺激による応答には変化がないことを見出した。以上より、オーファンGPCRであるGPR35はIgEを介する抗原刺激によるマスト細胞の脱顆粒応答を抑制する機能を有すると結論した。
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