2020 Fiscal Year Research-status Report
Identification of vaccine immunogenic factors for in situ cancer vaccine strategy
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20K07045
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Research Institution | Osaka International Cancer Institute |
Principal Investigator |
赤澤 隆 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター(研究所), その他部局等, がん創薬部主任研究員 (80359299)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉浦 喜久弥 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (30171143)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がんワクチン / ワクチン株 / 腫瘍免疫 / Immunogenic Cell Death |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は近年、注目を集める「免疫原性の高い細胞死(Immunogenic Cell Death, ICD)」について、ワクチン株の生体内挙動との共通点解析という戦略から、申請者独自のICD定義を探索するものである。また、「1.ワクチン株解析から注目したImmunogenic Factorsの機能解析」「2.抗がん剤ライブラリーによるImmunogenic Factorsの探索と変動検証」「3.生体内がんワクチン戦略とがん患者免疫状態の診断技術開発」の3つを主題として捉え、特に初年度は1.および2.を重点的に検討する計画としていた。 詳細な検討項目としては、「A.ワクチン株解析から提唱する新規Immunogenic factorsの機能検証、独自の定義付け」と「B.抗がん剤ライブラリーや放射線によるImmunogenic Factorsの変動を検出」の2点としていた。現在までに、Immunogenic Factorsの候補として絞り込んだ3遺伝子のうちの1つが、CRISPR-CAS9システムの利用によって作製したKOマウスの解析により、最重要候補であることが明らかとなった。実際、KO株がワクチン株と同様に、in vivo移植後に自然退縮することを確認している。一方で、この遺伝子は本体の機能以外にも特殊なRNAをコードすることが判明し、これが他の遺伝子発現を制御する可能性が示唆された。現在、免疫原性の起因となる機能が、そのいずれか、または両方によるものかについて検討を進めている。 新たな知見も得られているが、一方で当初計画の実験から十分な情報が得られなかった項目もあり、補足検討を進めている。全体としては順調に進んでいるものと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本課題の初年度計画として、「A.ワクチン株解析から提唱する新規Immunogenic factors の機能検証、独自の定義付け」と「B.抗がん剤ライブラリーや放射線によるImmunogenic Factorsの変動を検出」の2点を挙げていた。 A:ワクチン株の免疫原性因子としてマイクロアレイ解析から3候補遺伝子(X, Y, Z)に注目していた。このうち、遺伝子Xを親株からCRISPR-Cas9システムで欠損させたKO株がワクチン株と同様の性質を示した。この遺伝子は本体のタンパク以外にも別のRNAをコードしていることがわかり、タンパク本体の機能と特殊RNAのいずれか、または両方が免疫原性に関与する可能性が考えられた。最終的なワクチン株の性質(in vivoでマウスに移植すると一定の増殖後に停止し、自然退縮する)が再現できており、候補遺伝子の絞り込みは成功し、新たな知見を得たと考えている。 B:樹立済みのがん細胞培養株を使用し、抗がん剤ミニライブラリー・放射線照射・サイトカイン処理を行った後に起こる、細胞死様式について試薬を用いて経時的に解析した(アポトーシス及び2次的ネクローシス、ネクローシス)。これらの試薬によって分類される細胞死形態を把握するだけでは、免疫原性を十分に解釈することはできなかったため、追加評価を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画の一部では、期待していた程の情報量を得ることができなかったため、新たな追加検討・代替実験を計画し、翌年度に実験を持ち越している。 しかし、本課題の中心を成す研究については順調に進んでおり、研究全体の停滞回避案として準備していた予備計画は無用なものとなった。次年度はFocusしている遺伝子について、免疫原性に直結する機能を明確化し、代表的な抗がん剤応答との関係性を検討する。 本流部分の研究は当初計画通りのペースで進め、追加検討についても、翌年度中に完了させられる見込みである。物流の状況など注意して、計画を進める。
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Causes of Carryover |
本年度の計画において、当初に想定した実験系では十分な評価ができなかった項目が存在する。このため、代替・改良案を検討してきたが、輸送事情も重なり、本年度中にいくつかの実験を完了することができなかった。これらは、翌年度の計画に組み込みなおして完了させる計画である。
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