2021 Fiscal Year Research-status Report
神経プレシナプス電位依存性カルシウムチャネルの局在制御分子機構
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20K07046
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
多留 偉功 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (30533731)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | シナプス / カルシウムチャネル / 線虫 / C. elegans |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプスは神経細胞の接着構造であり、神経細胞間情報伝達を担う。シナプス前部(プレシナプス)のアクティブゾーンからの神経伝達物質の放出は、電位依存性カルシウムチャネルCav2によって制御される。アクティブゾーンにおけるCav2の正確な局在は正常な神経伝達に不可欠であるが、その局在機構には不明な点が多い。代表者らは、遺伝学的解析に長けた無脊椎動物である線虫C. elegansを実験モデルとして、アクティブゾーンアダプター分子によるCav2局在制御の機構を明らかにしてきた。本研究課題では、Cav2局在制御におけるアクティブゾーンアダプター分子の相互作用機序を明らかにするとともに、Cav2局在に関わる新たな分子群を同定することを目的として、解析を進めている。本年度は、アダプター分子変異体を活用した順遺伝学的スクリーニングを基にこれまで同定したCav2局在に関わる候補分子、プロプロテインコンバーターゼおよび糖鎖修飾調節関連酵素について、神経細胞種選択的な内在性同等発現レベルのCav2関連分子蛍光タンパク質標識体を用いた詳細な検討をおこなうとともに、それぞれの関連パスウェイ分子の寄与の有無を多重変異体を用いた遺伝学的相互作用解析によって明らかにした。Cav2は家族性の片麻痺性片頭痛や反復発作性運動失調症の原因分子として知られ、さらに自閉症や小児認知機能障害など種々の精神神経疾患に深く関与する。本研究によるCav2局在制御機構に関する新たな知見は、ヒト関連疾患の分子基盤理解および治療薬開発への貢献が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Cav2局在制御に関して、アクティブゾーンアダプター分子に関する解析についておおむね順調に進捗している一方で、新規因子解析において検証事項が多岐にわたることで進展が遅れている面がある。当初計画に対しては進捗状況に開きが生じている点で、やや遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
新規Cav2局在関連分子解析について特に注力し、作用分子機構の解明に向けた解析を中心として推し進める方策である。
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Causes of Carryover |
進捗状況に伴い物品費・その他等が当初見込みに至らず、また前年度に引き続き旅費等の支出が当初予定に比して抑えられたことから、次年度使用額が生じた。研究の進捗展開状況に対応し、物品費・謝金等および次年度以降の成果発表などを中心に使用する計画である。
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