2022 Fiscal Year Research-status Report
新規S1P輸送体MFSD2Bの創傷治癒における役割と活性制御機構の解明
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20K07059
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
小林 直木 摂南大学, 農学部, 助教 (90532250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リン酸化 / S1P / 赤血球 / 血小板 / MFSD2B |
Outline of Annual Research Achievements |
赤血球と血小板はどちらもS1P輸送体のMFSD2Bを発現しており、MFSD2Bを介して細胞内のS1Pを細胞外へ放出する。しかしながら、赤血球からのS1P放出が恒常的であるのに対し、血小板からのS1P放出は細胞の活性化に依存する点で大きく異なっている。赤血球由来のS1Pが血漿に含まれるS1Pの主な供給源になっているのに対し、活性化した血小板から放出されるS1Pは、創傷部位において血管新生・細胞増殖・細胞遊走などを促進すると考えられている。 私は赤血球・血小板におけるMFSD2Bの活性制御機構を明らかにするため、MFSD2Bのリン酸化に着目し、生化学的解析を行っている。これまでに、C末端に3xFLAGタグを融合したMFSD2B(MFSD2B-C3FLAG)の最適な精製条件を検討し、MFSD2B-C3FLAGが培養細胞内でリン酸化されることを明らかにした。さらに、MFSD2Bのアミノ酸残基のうち、リン酸化される可能性のある33個のセリン・スレオニン残基をすべてアラニン残基へ置換した場合、MFSD2Bは全くリン酸化されず、S1P輸送活性も完全に消失することを見出している。2022年度は、MFSD2Bを3つの領域(Ser26-Thr181, Thr215-Ser348, Thr367-Ser502)に分割し、それぞれの領域に存在する推定リン酸化残基をAla置換したMFSD2Bの変異体をすべての組み合わせで構築した。その結果、MFSD2BのSer26-Thr181またはThr367-Ser502に存在する推定リン酸化残基をAla置換した場合に、MFSD2Bのリン酸化およびS1P輸送活性はいずれも大きく減少したことから、これらの領域のセリン・スレオニン残基のリン酸化がS1P輸送活性に重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大による自宅待機のため、研究の進捗に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
MFSD2Bへのシングル変異導入により、タンパク質リン酸化やS1P輸送活性への影響を調べると共に、MFSD2B変異体の細胞内局在を解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により、2022年度の研究期間が短縮されたため、2022年度に予定していたMFSD2Bの簡便な活性測定系の確立を2023年度も引き続き行う。そのため、2023年度に使用予定の助成金は、MFSD2Bの簡便な活性測定系の確立に必要な消耗品の購入に使用する。
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Research Products
(2 results)