2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規S1P輸送体MFSD2Bの創傷治癒における役割と活性制御機構の解明
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20K07059
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
小林 直木 摂南大学, 農学部, 助教 (90532250)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | リン酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤血球と血小板はどちらもS1P輸送体のMFSD2Bを介して細胞内のS1Pを細胞外へ放出する。しかしながら、赤血球からのS1P放出が恒常的であるのに対し、血小板からのS1P放出は細胞の活性化に依存する点が大きく異なっている。本研究では、赤血球・血小板におけるMFSD2Bの活性制御機構を明らかにするため、MFSD2Bのリン酸化がS1P輸送活性に与える影響について解析した。 これまでに、CHO細胞に発現させた3xFLAGタグ融合MFSD2B(3FLAG-MFSD2B)の最適な精製条件を検討し、MFSD2B が CHO細胞においてリン酸化されることを見出した。タンパク質リン酸化酵素の標的となり得るMFSD2Bの33個のセリン・スレオニン残基をすべてアラニン残基へ置換すると、MFSD2Bのリン酸化とS1P輸送活性は完全に消失した。そこで、MFSD2Bを3つの領域(Ser26-Thr181, Thr215-Ser348, Thr367-Ser502)に分割し、それぞれの領域に存在する推定リン酸化残基をアラニン残基に置換したMFSD2B変異体をすべての組み合わせで構築したところ、MFSD2BのSer26-Thr181またはThr367-Ser502に存在する推定リン酸化残基のみをアラニン残基に置換しただけで、MFSD2Bのリン酸化およびS1P輸送活性は大きく減少した。2023年度には、MFSD2BのC末端側水溶性ドメインに着目し、そのドメインに存在するセリン・スレオニン残基をすべてアラニン残基へ置換したところ、MFSD2Bのリン酸化とS1P輸送活性は完全に消失した。以上の結果は、MFSD2BのC末端側水溶性ドメインに存在するセリン・スレオニン残基のリン酸化により、MFSD2Bの活性が制御されることを示唆している。
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