2020 Fiscal Year Research-status Report
分泌型ヘムタンパク質によるマクロファージの貪食抑制機構の解明
Project/Area Number |
20K07060
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中山 喜明 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (40512455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 守周 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00322165)
野中 元裕 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70514173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / Neudesin / 赤血球 / 貪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Neudesinによるマクロファージの貪食抑制機構を分子レベルで解明することを目的とした。 2020年度は、Neudesin遺伝子欠損マウスにおけるマクロファージ貪食能亢進の貪食標的特異性を検討し、Neudesin遺伝子欠損マウス由来のマクロファージでは、赤血球に対して貪食能の亢進を示すものの、大腸菌やアポトーシスを誘導した胸腺細胞に対しては、野生型マクロファージと同程度の貪食能であることを見出した。次に、赤血球貪食に関わるマクロファージ細胞表面受容体の発現量を測定したところ、Neudesin遺伝子欠損マウス由来のマクロファージでは、特にFcγ受容体やCD163分子の発現量が、野生型マウス由来マクロファージと比較して亢進しており、これらが赤血球貪食の亢進へと繋がっているものと示唆された。さらに、Neudesin欠損によるマクロファージの貪食亢進に繋がった細胞内シグナル経路などについて検討したところ、Neudesin遺伝子欠損マウス由来のマクロファージでは、赤脾髄マクロファージ分化のマスター遺伝子としても知られる転写因子Spi-Cの発現がヘム添加時に強く誘導されることを見出した。また、ファージディスプレイ法を用いてヒトおよびマウス組換えNeudesinタンパク質と結合するアミノ酸配列を探索した結果、ある一定の配列特性を持った7-10残基のアミノ酸に対し、生物種を超えてNeudesinタンパク質が高い特異性と再現性を持って結合することを見出した。今後はこのアミノ酸配列情報をもとに、マクロファージなどのNeudesin標的候補細胞に発現するNeudesin受容体タンパク質を検索したのち、免疫沈降法など生化学実験により、Neudesin受容体の同定を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、Neudesin欠損マクロファージにおける赤血球貪食亢進に関与する細胞表面受容体や転写因子を同定することができた。概ね順調に進捗しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究により、Neudesinが赤脾髄マクロファージ細胞表面状の貪食受容体の発現調節を介して赤血球貪食を抑制していること示すことができた。一方で、予備的な実験により、Neudesinは赤脾髄マクロファージだけでなく、炎症性マクロファージの機能調節を行っている可能性も見出されてきている。そこで今後の研究方策として、当初のNeudesinの受容体の探索も進めるとともに、炎症性マクロファージに関わるNeudesinの機能解析も新たに進めていく予定である。
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