2021 Fiscal Year Research-status Report
分泌型ヘムタンパク質によるマクロファージの貪食抑制機構の解明
Project/Area Number |
20K07060
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中山 喜明 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (40512455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 守周 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00322165)
野中 元裕 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70514173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / Neudesin / 赤血球 / 炎症 / Jak/Stat |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、Neudesinの炎症性マクロファージに対する影響を検討し、Neudesin遺伝子欠損マウス由来のマクロファージでは、炎症性サイトカインに対する影響はほとんど見られないのに対し、一酸化窒素産生が産生が亢進していることを見出した。そこでこの一酸化窒素産生増強のメカニズムを探索したところ、Neudesin遺伝子欠損マクロファージではLPS刺激時に活性化するJak/Stat1/iNOS経路が野生型のマクロファージと比較して亢進していることを明らかにできた。さらに、このJak/Stat1/iNOS経路の増加にはNeudesinによるERK1/2経路の活性化が関与していることも見出している。一方で、予備的な実験によりNeudesinが炎症性マクロファージだけでなく、炎症後期に炎症を抑制する抗炎症性マクロファージへの分極に関わる可能性も見出している。Neudesinの受容体探索研究については、マウス心臓cDNAライブラリーを組み込んだファージディスプレイ法を用いてマウス組換えNeudesinタンパク質と結合するタンパク質を網羅的に検索したところ、デコリンなどの幾つかのNeudesin受容体候補タンパク質を見出すことに成功している。今後はこの情報をもとに、マクロファージ細胞株や骨髄由来マクロファージを用いて、免疫沈降法などの生化学実験により、Neudesin受容体の同定を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想とは異なる結果ではあるが、Neudesinの炎症性マクロファージに対する新しい作用を見出すことができた定することができた。概ね順調に進捗している ものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究により、Neudesinが組織マクロファージだけでなく、炎症性マクロファージに対しても作用し、過剰な炎症を抑制する新たな抑制性サイトカインとして働く可能性を見出した。一方で、予備的な実験によりNeudesinが炎症後期に炎症を抑制する抗炎症性マクロファージへの分極に関わる可能性を見出している。そこで今後の研究方策として、Neudesinの受容体の探索も進めるとともに、抗炎症性マクロファージに関わるNeudesinの機能解析も新たに進めていく予定である。
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