2022 Fiscal Year Annual Research Report
分泌型ヘムタンパク質によるマクロファージの貪食抑制機構の解明
Project/Area Number |
20K07060
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中山 喜明 神戸薬科大学, 薬学部, 准教授 (40512455)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小西 守周 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (00322165)
野中 元裕 京都大学, 医学研究科, 准教授 (70514173)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マクロファージ / Neudesin / 一酸化窒素 / 炎症 / JAK/STAT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、前年度に引き続きマクロファージにおけるneudesinの細胞内シグナル経路について検討を行い、neudesinは炎症の収束期に炎症性マクロファージに作用し、ERK1/2シグナルを活性化することにより、炎症促進性の転写因子であるSTAT1タンパク質のユビキチン-プロテアソーム分解を誘導することで、炎症収束を促進することを明らかにした。また、neudesinの直接作用する標的分子の探索では、前年度までにファージディスプレイによりneudesin結合性のアミノ酸配列を同定していたことから、今年度はこれらの情報をもとに、in silico解析を行い、インスリン様成長因子1型受容体(IGF1R)が、このアミノ酸配列を細胞外領域にもち、neudesinと類似機能を有することを見出した。そこでさらに組換えタンパク質を用いてneudesinとIGF1Rの結合能を検討し、これらのタンパク質が結合することを明らかにした。 研究期間全体を通じて、これまで免疫系における機能が不明であった分泌因子neudesinについて研究を進め、炎症部位における司令塔であるマクロファージにneudesinが作用することで炎症促進シグナルであるJAK/STAT1シグナルを抑制し、炎症を収束方向へ転換する、新たな炎症抑制性サイトカインであることを明らかにした。また敗血症モデルマウスを用いた研究からは、neudesinが急性感染時に過剰産生される一酸化窒素から心筋細胞を保護する役割を果たすことを明らかにしており、敗血症時における新たな治療としてneudesinが利用できる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)