2020 Fiscal Year Research-status Report
Rational design of selective inhibitors targeting snake venom based on resistance system of venomous snake
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20K07061
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
塩井 成留実 (青木成留実) 福岡大学, 理学部, 助教 (50510187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 有毒生物 / 毒ヘビ / 阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヘビ毒液成分の複雑性は世界で多くの死者を出すヘビ咬傷被害の治療を困難する。一方、毒ヘビは血液中に自己の毒を特異的に阻害するタンパク質を備えている。本研究の目的は、我々が見出したヘビ毒阻害タンパク質を基盤に、ヒトに対して安全で、かつ、安価な治療法の提案を目指し、毒素に対して高い特異性と安定性を持つ阻害物質の創薬基盤研究を展開することである。 本研究実施期間(2020-2022年度)の初年度には、老朽化した液体クロマトグラフーに代わり、本事業申請書に計上したAKTAシステムを購入した。その効果により、現在は研究計画に沿って円滑に研究が推進できている。具体的には、ポジティブコントロールとしてハブの毒液および血液のタンパク質成分の分析、また、鍵となるタンパク質の精製を購入したシステムを用いて行った。これまで、日本マムシおよびウミヘビも同様な方法で進めている。 その他初年度の一年間で行った内容は1)毒素阻害物質の創薬基盤研究を目的とした実験では、ヘビ血液中から発見された抗出血因子(ヘビ毒金属プロテアーゼ阻害タンパク質)のN末ドメインの大腸菌発現系を確立した。また、2) 毒液の相乗的なシステムの普遍的な要素やその機構の解明を目的とした実験では、マムシおよびエラブウミヘビの毒腺および各組織のトランスクリプトーム解析を行った。 今後は、COVID-19問題の中でも海外研究者との連携により、サンプリングの仕方に工夫をしながら信頼できる質の高いデータ蓄積を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は毒ヘビ粗毒、毒ヘビ血清、粗合成ペプチドから 単一タンパク質(ペプチド)を頻繁に精製するため、自動プログラムのポンプ式クロマトグラフィーシステムの必要性を述べ、申請経費に計上した。初年度にそのシステムを購入し、研究推進速度を格段に向上させることができた。日本国内では、サンプリングが比較的予定通りに行えたことから、マムシ、エラブウミヘビの各組織のトランスクリプトーム解析を中心に研究を遂行した。 ヘビの場合、毒腺を中心とする遺伝子に関しては、公表されているデータをもとにアノテーションが比較的スムーズであったが、他の組織に関しては一つ一つの確認が必要であった。そのため、遺伝子配列のアノテーションと確認作業に半年以上の時間がかかったが、毒液などのプロテオミクス解析と同時進行で行った。現在、トランスクリプトーム解析およびプロテオミクス解析を終え、論文投稿と同時にデータの公表に向けて準備を行っている。 しかしながら、長引くCOVID-19の問題により海外でのサンプリングや、国際的な研究協力者とのやり取りが円滑に進めなかった。これらの研究内容は、本事業研究の下半期に計画を変更する。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度のタンパク質発現系構築に成功したことから、毒ヘビの内在性毒素阻害物を基盤としたペプチドを合成の実験については、生化学的手法を取り入れた生合成を同時に展開していく。これは比較的円滑に変異導入や断片化構築が簡単なためである。 毒ヘビ内在性の毒阻害物質の探索と阻害評価については、今年後半より、海外の毒ヘビなどのサンプリングや解析を国際的共同研究より展開し、各毒ヘビ毒を結合させたアフィニティカラムを作製し、その毒ヘビの血清をアプライし、毒素結合候補分子を精製する。再現性としての結合評価は、表面プラズモン共鳴法で行う。阻害活性評価は、標的毒素がプロテアーゼの場合は蛍光基質を用いた分解活性アッセイで、チャネル阻害毒素の場合はパッチクランプ法で行う。 主成分毒素の生理活性を相乗的に高めるタンパク質の単離とその構造と機能の解明については、相乗的働くために必要な毒素を量的に調製し、その評価を行う。
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Remarks |
福岡大学理学部機能生物化学研究室 https://sites.google.com/view/biochemfu/home
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Research Products
(12 results)