2020 Fiscal Year Research-status Report
ミトコンドリアチャネルVDACの立体構造解析によるオリゴマー構造と機能の解明
Project/Area Number |
20K07062
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
染谷 友美 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (80450401)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無細胞タンパク質合成 / チャネル / 立体構造認識抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、VDACの立体構造認識抗体を作成し、その断片を用いて、X線結晶構造解析またはクライオ電子顕微鏡単粒子構造解析によるVDACの高分解能構造解析を達成し、オリゴマー状態の構造や、VDAC制御化合物の結合状態等を調べることを目指している。 2020年度は、抗体作成のための抗原調製および免疫、得られたハイブリドーマのスクリーニングを行った。大腸菌無細胞タンパク質合成系にてそれぞれ大量発現し、高純度精製したVDAC1、VDAC2、VDAC3を混合し、アジュバントを添加したリポソームへ再構成したものを抗原として、外部委託にて動物を免疫した。得られたハイブリドーマ培養上清9600ウェルについて、変性状態・非変性状態のVDAC1、VDAC2、VDAC3を用いて、それぞれの結合性を調べ、変性抗原を認識せず、非変性抗原を認識するウェルを選別した。次に、選別した培養上清と可溶化VDACを混合し、蛍光ゲルろ過クロマトグラフィーによりVDAC/抗体複合体の安定性を調べ、安定に複合体を維持できることを指標として、3クローンのハイブリドーマを選択した。次年度以降は、これらのハイブリドーマクローンから抗体遺伝子を単離し、構造解析に適した形状の抗体断片を作成する予定である。抗体結合によりタンパク質高次構造が固定され、結晶化を促進したり、分子量が小さく膜外領域の少ない膜タンパク質のクライオ電子顕微鏡解析を容易にすることを期待している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、初年度にハイブリドーマのスクリーニングが完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
選別されたハイブリドーマクローンからそれぞれ抗体可変領域遺伝子をクローニングし、複数種の抗体断片を調製し、VDAC1/2/3と各種抗体断片との複合体の安定性等の性状分析を行い、良好な組み合わせの複合体について結晶化スクリーニングを開始する。結晶が得られないなど難航する場合は、クライオ電子顕微鏡解析に向けた準備を進める。
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Causes of Carryover |
結晶測定や学会発表のための旅費支出を予定していたが、感染症蔓延の影響で出張することができなかった。次年度に結晶化スクリーニング等で大量のタンパク質合成試薬や結晶化スクリーニング試薬を消費する予定のため、それらの追加費用に充てることを計画している。
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