2020 Fiscal Year Research-status Report
非アルコール性脂肪性肝疾患において発現が増加するmiRNAの機能解析
Project/Area Number |
20K07065
|
Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
田中 徹也 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 教授(移行) (10346380)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 貴行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (30378286)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / miRNA 導入 / 脂肪蓄積 / 炎症 / 繊維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症・進行には miRNA が関与している。これまでの研究で、我々は NAFLD 患者の肝組織の miRNA 発現解析で、疾患時に著しく発現が変動する miRNA を複数見出した。本研究課題では、NAFLD の発症進行におけるそれぞれの miRNA の役割を明らかにし、NAFLD の診断、予後予測、治療などの臨床応用へつなげることを目的とする。 初年度開始前に、非アルコール性脂肪性肝疾患で発現が変動する miRNA の中で、 miR-27b が脂質代謝関連遺伝子を制御していることはすでに報告してきた。また、ヒト由来幹細胞 HuH-7 細胞をインスリン、デキサメタゾン、ロシグリタゾンなどで刺激することで脂肪蓄積(脂肪細胞への分化)が起こることも確認済みであった。本年度は、miR27 以外に発現変動(増加)を示した機能未知の他の miRNA の中で特に興味を抱いていた miR193a、miR126、miR199a のうち、後者の2つの miRNA をマウス 3T3-L1 細胞に導入し、インスリン、デキサメタゾン、ロシグリタゾンなどで分化誘導刺激をかけたところ、脂肪蓄積が亢進することを確認した。この亢進は miR126 よりも miR199a を導入した場合に、より顕著であるという結果を得た。 以上の結果から、同様の結果が miR199a をヒト HuH-7 細胞株に導入した場合でも起こるかどうかを検討するとともに、その時の炎症性サイトカインである TNFα や繊維化タンパクマーカーであるコラーゲンタンパク質発現の差を検討中であるが、現時点ではマウス細胞株で得られたものと同様の結果をヒト細胞を用いて得るに至っていない。しかしながら、miR199a が脂肪蓄積に何らかのメカニズムで機能していることを明確にした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者の所属大学の変更による講義時間の大幅な増加と、移動後大学の研究設備の脆弱さのためセットアップに時間を要していること、また新型コロナウィルスの蔓延による県をまたいだ移動の制限により、研究分担者並びに研究協力者が所属する旧所属大学の設備を使用した、また研究者と協力して行う実験の進行が困難な状況のため計画はやや遅れている。現所属大学の実験環境は徐々にではあるが改善しつつあるため、次年度以降は遅れを取り戻せると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在の新型コロナウィルスの感染拡大は先が読めず、今後も旧所属大学や外部機関での実験は予定通りに進められない可能性がある。そのため、ネットなどで密に研究分担者や研究協力者と連絡を取り、双方の大学での分担により研究を効率よく進め、出来る限り計画の遅れを取り戻す予定である。現所属大学の研究環境の脆弱さは如何ともし難いが、移動が可能になれば旧所属大学の施設で一部研究を行うことや、解析の外注も含めて、目的を達成すべく臨機応変に本研究を進めていく。
|
Causes of Carryover |
大部分の当該年度未使用額は、研究分担者による繰越である。これは分担者所属学部のカリキュラム変更および新型コロナウィルス感染拡大による実験実施の時間的支障によるものである。また、研究代表者はほぼ使用額を支出したが、移籍先の不足設備が十分に把握できていなかったことによるものである。上記の理由により一部使用額を次年度に繰り越させせていただいた。研究代表者、研究分担者ともに、実験実施環境が整い次第、初年度未実施実験の実行のための試薬などの物品費として使用させていただきたい。
|
Research Products
(8 results)