2020 Fiscal Year Research-status Report
治療法のないニーマン・ピック病C型肝病変に対する画期的治療薬の開発
Project/Area Number |
20K07066
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
石塚 洋一 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 教授 (70423655)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ニーマンピック病C型 / nieman pick type c / NPC / ライソゾーム病 / シクロデキストリン / アセトアミノフェン |
Outline of Annual Research Achievements |
先天脂質代謝異常症であるNiemann pick disease type C(NPC)では、中枢神経障害に加え遊離型コレステロール蓄積を伴う肝障害が問題となる。本研究ではNPCでみられる肝障害に対する治療薬の開発ならびに病態発症機序の解明を目的として、以下の3点について検討を行う。①シクロデキストリン誘導体の脳室内投与時のモデルマウス肝病変の変化を調べる。②3次元培養肝細胞およびモデルマウスを用いて、我々の特許出願済みおよび出願予定の治療薬候補化合物の有効性評価を行う。③小児科領域で汎用されるアセトアミノフェンなどの肝障害惹起薬物のNPCにおける安全性を評価する。
①NPCモデルマウスにヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)を微量脳室内投与すると顕著な血清トランスアミナーゼ値の低下および肝組織における(オステオアクチビン(GPNMB))の減少が見られた。本結果によりNPCの中枢神経障害と肝障害の病態連関が示唆された。②特許出願済みの治療薬候補を含む化合物について、培養肝細胞NPCモデルを用いた有効性について検討を行い、細胞障害改善効果を示す化合物を見出した。③NPCモデルマウスに高用量アセトアミノフェンを投与し肝障害惹起を行ったが、野生型マウスで見られるような重篤な肝障害は見られなかった。一方で、NPC阻害薬であるU18666Aで惹起した培養肝細胞NPCモデルではアセトアミノフェン肝障害が悪化したが、Npc1遺伝子に対するsiRNA処置で作成した培養肝細胞NPCモデルでは悪化は見られなかった。U18666A処置によりアセトアミノフェン毒性代謝物NAPQIの産生が増加している可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①シクロデキストリン誘導体の脳室内投与時のモデルマウス肝病変の変化について、論文発表を行った。②In vitroおよびin vivoモデルを用いた治療薬候補化合物の有効性評価や③NPCモデルにおける薬剤性肝障害の発症に関する検討についても学会発表を行うなど、順調に研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
①シクロデキストリン誘導体の脳室内投与時のモデルマウス肝病変の変化について、脳-肝病変の連関について、その分子機序を精査する。②In vitroおよびin vivoモデルを用いた治療薬候補化合物の有効性評価について、現在、有効性が見いだせている化合物について、さらなる検討を行う。さらに、③U18666A処置によりアセトアミノフェン毒性代謝物NAPQIの産生が変化するかを3次元培養肝細胞モデルで精査する。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Differential mode of cholesterol inclusion with 2‐hydroxypropyl‐cyclodextrins impacts safety margin in treating Niemann‐Pick disease type C2021
Author(s)
Yamada Y, Ishitsuka Y, Kondo Y, Nakahara S, Nishiyama A, Takeo T, Nakagata N, Motoyama K, Higashi T, Arima H, Kamei S, Shuto T, Kai H, Hayashino Y, Sugita M, Kikuchi T, Hirata F, Miwa T, Takeda H, Orita Y, Seki T, Ohta T, Kurauchi Y, Katsuki H, Matsuo M, Higaki K, Ohno K, Matsumoto S, Era T, Irie T.
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Journal Title
British Journal of Pharmacology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Niemann Pick 病C型患者に対するアセトアミノフェン使用の肝障害リスク評価を目的とした基礎的検討2020
Author(s)
難波 七海 , 柚木崎 美織 , 近藤 悠希 , 山田 侑世 , 竹尾 透 , 中潟 直己 , 江良 択実 , 東 大志 , 本山 敬一 , 有馬 英俊 , 関 貴弘 , 倉内 祐樹 , 香月 博志 , 松尾 宗明 , 檜垣 克美 , 入江 徹美 , 石塚 洋一
Organizer
第73回日本薬理学会西南部会(Web開催)
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