2020 Fiscal Year Research-status Report
心不全におけるオートファジー障害の機序解明と治療への応用
Project/Area Number |
20K07068
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
久野 篤史 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (30468079)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤谷 直樹 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10374191)
野島 伊世里 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10827398)
堀尾 嘉幸 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30181530) [Withdrawn]
矢野 俊之 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40444913)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | オートファジー / マイトファジー / 心不全 / SIRT1 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和2年度の本研究の目的は、① 心不全におけるオートファジー障害の機序を、オートファゴソーム分解障害とSIRT1活性低下の観点からヒト患者の心筋試料や動物モデルを用いて明らかにする。② SIRT1によるオートファゴソーム分解促進による障害ミトコンドリア除去の分子機序を解明する、である。 ①心不全モデルにおけるSIRT1活性・オートファジー活性の変化:ドキソルビシン心筋障害のマウスモデルを用いて、心筋組織におけるSIRT1活性やオートファジーの変化を評価した。対照群と比較してドキソルビシン心筋障害モデルではSIRT1蛋白量・mRNA量には変化がないものの、アセチル化リジン量はドキソルビシン投与群で増加していた。したがってSIRT1の脱アセチル化能はドキソルビシン投与により低下した可能性が示された。同モデルにおいて、オートファゴソームの指標であるLC3-II量はドキソルビシンにより17%低下した。一方SIRT1ノックアウトマウスではこのようなドキソルビシンによるLC3の低下は認めなかった。またSIRT1ノックアウトマウスの方が、ドキソルビシン誘導性心筋障害がより高度だった。 ②SIRT1によるオートファジー/マイトファジー調節機構の解明 1)mTORC1により負に調節を受けオートファゴソームとリソソームの融合に関与するUVRAGとSIRT1の関連を評価した。免疫沈降法でSIRT1とUVRAGの結合は確認できた。2)H9c2細胞でSIRT1をノックダウンすることにより、オートファゴソームとリソソームの融合に関わる因子の遺伝子発現を評価した。SIRT1ノックダウンにより発現変化するものは見られなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍での研究に関わる時間の不足・短縮、試薬到着の遅延、他プロジェクトとの兼ね合いなど複数の理由が挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
1) ヒト正常心筋組織切片および不全心組織切片は入手済みであり、今後SIRT1発現量・活性、オートファジー/マイトファジー活性を評価予定である。 2) オートファゴソーム・リソソーム融合に関わる因子を認識する抗体や、アセチル化リジン蛋白を集める試薬は縦鼻できたので、SIRT1によりアセチル化修飾を受けオートファジー調節を担う蛋白の同定を試みる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において、研究に費やす時間が少なくなったこと、研究助手の雇用が滞るなど、思うように研究活動を進めることが困難であった。次年度は状況は改善されているため、計画的な研究費使用が可能となると考えられる。
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Research Products
(6 results)