2023 Fiscal Year Annual Research Report
Pathological significance of K+ channel regulation in tumor microenvironment
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20K07071
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
大矢 進 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (70275147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鬼頭 宏彰 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (40749181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | カリウムチャネル / がんスフェロイド / 抗がん剤耐性 / ABCトランスポーター / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、三次元(3D)スフェロイド培養システムを用いてin vitroで再現した腫瘍微小環境でのがん幹細胞能および抗がん剤耐性能の獲得におけるカルシウム活性化カリウムチャネル(KCaチャネル)の病態生理学的意義を解明し、KCaチャネル作用薬の悪性がん治療薬としての潜在性を示すことである。また、がん幹細胞化に着目した研究では、腫瘍再構成(再燃)に関するKCaチャネル阻害薬の潜在性を明らかにする。さらに、腫瘍微小環境でのがん免疫監視システムの破綻におけるカリウムイオン自身やKCaチャネルの役割を解明する。 研究期間全体において、主に①KCaチャネル阻害による抗がん剤耐性能抑制効果とそのシグナル機構と②実験的腫瘍微小環境におけるがん関連非がん細胞の機能変化とKCaチャネル作用薬の効果、を検討した。研究実施計画①では、KCa1.1チャネルが発現する骨肉腫、軟骨肉腫、前立腺がん由来細胞株のスフェロイド培養モデルを用いて、KCa1.1阻害薬の処置によるドキソルビシン(DOX)耐性克服の新規メカニズムの解明に挑み、薬物代謝酵素のcytochrome P450うち、KCa1.1阻害薬によるCYP3A4の発現減少が関与することを見出した。また、KCa1.1阻害による下流シグナル経路を同定した。ユビキチンE3リガーゼFBXW7を介したKCa1.1機能調節とそのメカニズムを明らかにした。また、研究実施計画②では、M2様マクロファージにおいて、KCa3.1活性化薬によりIL-8やIL-10の発現・産生が抑制されることを明らかにした。腫瘍微小環境における高カリウム条件で生じたIL-8とIL-10の発現・産生の増加もKCa3.1活性化薬により有意に抑制された。シグナル経路の解析により、ERK-CREBおよびJNK-c-Jun経路が関与することも明らかにした。
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