2020 Fiscal Year Research-status Report
伸展負荷による血管平滑筋細胞死での転写因子Nr4aの役割解明と動脈解離予防薬開発
Project/Area Number |
20K07073
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
吉栖 正典 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (60294667)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
京谷 陽司 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (10706534)
趙 晶 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (60804466)
中平 毅一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80844414)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 動脈解離 / 伸展負荷 / 血管平滑筋細胞死 / MAPキナーゼ / Nr4a |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、1)急激な伸展負荷による血管平滑筋細胞死の細胞内分子メカニズムに関わるNr4a の役割解明と、2) Nr4a をターゲットとした、降圧に依存しない全く新しい大動脈解離の発症予防薬の開発を目的としている。 今年度は、Nr4a の特異的阻害薬を用いて、伸展負荷による血管平滑筋細胞死の抑制効果の検討を行った。培養ラット大動脈平滑筋細胞を用いて、急激な伸展負荷による血管平滑筋細胞死に対する Nr4a阻害薬、DIM-C-pPhOH の効果を検討した。DIM-C-pPhOHの添加により、伸展負荷による血管平滑筋細胞死はより促進された。この結果より、Nr4aは伸展負荷による血管平滑筋細胞死に対して抑制的に作用していることが示唆された。 また我々は予備的実験で、培養血管平滑筋細胞への伸展負荷により、細胞死に関わるといわれる MAP キナーゼの JNK と p38 の活性化を確認している。Nr4a 阻害薬、DIM-C-pPhOHの添加によって、伸展負荷刺激によるJNK と p38の活性化がさらに促進された。この結果も、Nr4aが伸展負荷による血管平滑筋細胞死に対して防御的に作用していることを支持するものである。 以上の結果より、今年度の実験計画はおおむね順調に進展していると考えている。次年度以降は、マウスを用いたin vivo の大動脈縮窄モデルを用いて、伸展負荷による血管平滑筋細胞死の分子機構における Nr4a の役割を解明する研究に取り組んでいく。研究が進展すれば、降圧効果に依存しない全く新しい大動脈解離の発症予防薬の開発に道が開かれると確信している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、1)急激な伸展負荷による血管平滑筋細胞死の細胞内分子メカニズムに関わるNr4a の役割解明と、2)Nr4a をターゲットとした、降圧に依存しない全く新しい大動脈解離の発症予防薬の開発を目的としている。この2つの目的のために3年間の研究期間を設定したが、今年度は、上記1)に該当する、Nr4a の特異的阻害薬を用いて、伸展負荷による血管平滑筋細胞死の抑制効果の検討を行った。得られた実験結果は妥当であり、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、1)急激な伸展負荷による血管平滑筋細胞死の細胞内分子メカニズムに関わるNr4a の役割解明と、2)Nr4a をターゲットとした、降圧に依存しない全く新しい大動脈解離の発症予防薬の開発を目的としている。次年度以降は、上記2)に該当する in vivo のマウスモデルを用いて、伸展負荷による血管平滑筋細胞死の分子機構における Nr4a の役割を解明し、降圧効果に依存しない全く新しい大動脈解離の発症予防薬の開発に取り組んでいく。
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