2021 Fiscal Year Research-status Report
Molecular basis on drug development targeting causative molecules of genetic nephritis Alport syndrome
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20K07086
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
スイコ メリー・アン・ソテン 熊本大学, 大学院生命科学研究部附属グローバル天然物科学研究センター, 助教 (20363525)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルポート症候群 / Ⅳ型コラーゲン / HTSスクリーニング / アカデミア創薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
Alport 症候群 (AS) は腎糸球体基底膜 (GBM) を構成する Ⅳ 型コラーゲン (COL4A3/COL4A4/COL4A5 ; a3/a4/a5(Ⅳ)) の遺伝子変異が原因で起こる難治性の遺伝性腎疾患である。小児で発症し、重症例では 10 代後半から 20 代で末期腎不全への移行を余儀なくされることから、厚生労働省の指定難病に登録されている。現在の治療法は、タンパク尿抑制を企図した RAS 阻害薬による対症療法のみであり、先行研究において病態表現型 (炎症・線維化) を標的とした治療薬開発が行われているが、依然として末期腎不全移行を阻止できる治療薬の開発には至っていない。通常 Ⅳ 型コラーゲンは、細胞内で a3/a4/a5サブユニットがらせん状に三量体を形成し、細胞外へと分泌されることで機能を果たす。 これまで、熊本大学で独自に作成した天然物 (微生物,植物) エキスライブラリを用いたⅣ 型コラーゲンの三量体形成・分泌を発光にて検出可能な HTS 評価系 (G1244D a5(Ⅳ))を行った。その結果、化合物Xおよびその誘導体Yを同定した。本年度は、まず、化合物X・Yが、変異a3/4/5(Ⅳ) 三量体分泌を促進するメカニズムを明らかにすべく、共通の作用標的である Cyclophilinsに着目し、各種Cyclophilinに対する siRNA を用いた検討を行った。その結果、Cyclophilin D (PPIF) のノックダウンにより化合物X・Yによる変異a3/4/5(Ⅳ) 三量体分泌促進作用が減弱することを明らかにし、PPIFが、その作用機序の一端を担うことを示唆した。また、1) AS の原因となるⅣ 型コラーゲン遺伝子の変異は多数存在すること、2) 遺伝病の治療薬の開発における変異体ごとの薬効プロファイルの作成は重要であることから、化合物X・Yが、臨床報告のある種々の変異体に対し普遍的に作用するか否かについて検討した。その結果、化合物X・Yは、特定の領域 (Exon41 周辺) の変異に対してのみ薬効を示すことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
化合物X・Yの作用標的に、Cyclophilin D (PPIF) を同定し、また、その作用標的遺伝子変異の同定に成功したことから、概ね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物 X・Y とCyclophilin D (PPIF) が直接 Type Ⅳ collagen と相互作用するのかを明らかにするとともに、今後、マウスでのin vivo試験を実施するにあたり、マウスのa5(Ⅳ)の各種変異体を作成し、活性低下する変異を同定する。その後、モデルマウスの作成に着手し、化合物X・Yの作用について、in vivoで検証する予定である。
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