2020 Fiscal Year Research-status Report
NMRメタボロミクスによる生薬原料の成分マッピング法の確立
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20K07104
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
鈴木 龍一郎 城西大学, 薬学部, 准教授 (20415201)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | キハダ / NMRメタボロミクス / 成分 / マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は漢方薬の原料として用いる「生薬」の成分に関する知見を得ることである。通常、生薬は使用する部位が規定されており、それ以外の部位の使用は認められていない。しかし、どうして部位が規定されているのか、他の部位の利用はどうして認められないのかなどは科学的には説明されていない。そこで本研究では含有成分に着目し、生薬として規定される部位とそれ以外の部位で成分がどのように異なるかを明らかにする。 本年度は生薬オウバクの基原であるキハダを用いて、含有成分の分析を行った。宮城県亘理郡山元町で入手した輪切りのキハダの幹から、中心から1~2cm幅の板状の材を切り出し、更にその板状の材の中心から周皮に向かって1cm幅で短冊状にサンプルを6個切り出した。次にそのサンプル(No.1~6)と生薬として用いるキハダの樹皮をミルでそれぞれ別々に粉末とした。それらのサンプルから10gを量り取り、150mLのMeOHで1時間加熱還流抽出を行った。得られた抽出エキスは減圧下で溶媒留去し、乾燥させた。乾燥させたサンプルはそれぞれ10mg程度秤取し、NMR測定用重dimethylsufoxide-d6で10mg/mLとなるように溶解させた。なお、各サンプル(No.1~6及び樹皮)はそれぞれ3つずつ調製した。次にそれらの1H NMRスペクトルを測定し、得られたデータはAlice2 for metabolomeでバケット積分と主成分分析を行った。 主成分分析のスコアプロットを確認すると、樹皮は明らかに他と異なる場所にプロットされた。一方、No.4-6はそれぞれ近いところにプロットされたことから、幹の心の部分は成分差があまりことが明らかになった。それに対してNo.1、2、3はそれぞれ別々にグループを形成したことから、キハダの成分は樹皮に向かうにつれ、成分プロファイルが異なっていくことが明らかにとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルの取得に特に問題がなかったため、計画通りに進行した。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目はサンプルをビワの葉に変え、葉の中心部分と周縁部分とで含有成分がどのように異なるかを確認する予定である。特にビワの葉には特徴的な成分としてサポニンが知られているが、このサポニンが葉の部位でどのように分布しているかを明らかにする予定である。また、1年目に得られたキハダの部位による成分の違いについては、ローディングプロットの結果を更に解析し、成分の同定まで実施できるか検討する。
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