2020 Fiscal Year Research-status Report
発酵工学を利用した抗嫌気性菌活性物質ルミナミシンの非天然型誘導体の創製
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20K07105
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
稲橋 佑起 北里大学, 感染制御科学府, 講師 (70645522)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 友靖 北里大学, 感染制御科学府, 准教授 (00370156)
松井 秀仁 北里大学, 大村智記念研究所, 研究員 (80503797)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ルミナミシン / Clostridioides difficile / 生合成 / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
ルミナミシン生産菌のドラフトゲノムシークエンス解析により、I型ポリケチド合成酵素やシトクロムP450等を含むルミナミシン生合成遺伝子クラスターを同定した。まだ遺伝子クラスターのシークエンスが完全には繋がっていないため、今後、シークエンス解析を行い遺伝子クラスターの全長を得る必要がある。 ルミナミシンの生合成における無水マレイン酸含有14員環ラクトンとシスデカリン含有10員環ラクトンのカップリング機構の解明を目的に、ルミナミシン生合成遺伝子クラスターに存在するシトクロムP450 (LumP3, LumP4) 、エステラーゼ (LumI) の遺伝子および無水マレイン酸部位の生合成に関与すると推定したLumR/Sの遺伝子欠損株を、CRISPR-Casシステムを利用して作製した。 遺伝子欠損株をルミナミシン生産培地で振盪培養後、等量のエタノールを加え、代謝産物を抽出した。エタノール抽出物をHPLCおよびLC-MSによって解析した結果、各遺伝子欠損株においてルミナミシンの生産が消失しており、欠損させた遺伝子がルミナミシンの生合成に重要な役割を担っていることが明らかになった。また、作製した遺伝子欠損株に対し、野生株の遺伝子を相補させることで、ルミナミシンの生産能が回復することが確認された。 現在、生合成中間体を単離するために、培養液のHPLC解析において野生株では見られず、遺伝子欠損株で生産されているピークについて各種カラムクロマトグラフィー等を用いて単離精製を行なっている。 今後は遺伝子欠損株より生合成中間体を単離し、その構造解析を行う予定である。また、欠損株に単離した生合成中間体を供給することで、ルミナミシンへの変換を確認する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルスの影響もあったものの、4種類の遺伝子欠損株の作製ができた。本年度は他の遺伝子欠損株を作製するとともに作製した菌株を使用して研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
ルミナミシン生合成遺伝子クラスターの全長が得られていないため、今後、シークエンス解析を行い遺伝子クラスターの全長を得る。 ルミナミシンの生合成における無水マレイン酸含有14員環ラクトンとシスデカリン含有10員環ラクトンのカップリング機構の解明を目的に、作製した遺伝子欠損株より生合成中間体を単離し、その構造解析を行う予定である。また、欠損株に単離した生合成中間体を供給することで、ルミナミシンへの変換を確認する。 生合成遺伝子改変により10員環ラクトン部位の類縁体を作製する。一方、有機合成により無水マレイン酸部位の類縁体を作製する。それぞれの部位をカップリンさせることで、非天然型ルミナミシン誘導体合成を試みる。また、得られた誘導体のC. difficileに対する抗菌活性を測定する。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等により研究の進捗が遅れているため。 使用計画:二次代謝産物生合成遺伝子の欠損変異株作製や、作製した変異株の代謝産物解析を行い、生合成中間体の取得を試みる予定。それに使用する生化学実験用試薬やシークエンス解析費用、化合物の単離精製のための有機溶媒やカラムなどの消耗品に予算を使用する予定。
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