2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of new breed inherited Kaga Ouren
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20K07112
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
安藤 広和 金沢大学, 薬学系, 助教 (00768731)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 雅史 城西大学, 薬学部, 助教 (10825392)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黄連 / 育種 / 栽培 / 品質評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は漢方生薬「黄連」の原植物の育種に関する研究である。研究計画に従って,まず実験植物の収集を行った。収集地である石川県は主にキクバオウレンが自生しているが,植物調査を進めていく過程で特徴的な群落を発見した。この群落では明らかにキクバオウレンやセリバオウレンと判断できる個体も存在するが,多くの個体はどちらとも判断できないものであった。そのため,この群落で実験植物を採取することとした。まず採取した個体のDNA解析を実施するため迅速で安価な解析方法の開発を行った。解析方法はTHBO遺伝子におけるSNPを利用してプローブを作製し,リアルタイムPCR法を用いて検出する方法である。本方法では用いるDNAの品質が低い場合であっても正確に解析することが可能であったことからDNAの精製過程を大きく省略し実施した。採取した植物の葉を用いて99個体を解析した結果,キクバオウレンタイプが24個体,セリバオウレンタイプが33個体,42個体はその両方の塩基を有していた。この42個体を群落内で自然交配した個体と推定し研究を進めた。 採取した個体の根茎重量および細根重量を測定し遺伝子型によって比較した結果,根茎重量,細根重量ともにヘテロタイプが最も重く,次いでキクバオウレンタイプ,セリバオウレンタイプであった。本結果は自生株を採取して得られたものであり,生育年数が不明であることを考慮すると生育速度に関してはより詳細な検討が必要であると考えられる。また,得られた根茎は分割し,育苗した後,キクバオウレンタイプ,セリバオウレンタイプ,ヘテロタイプの3系統として金沢大学・薬用植物園内に定植した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は実験植物の採取,DNA解析,株分けおよび定植を実施した。まず,本研究の主要な部分を占める自然交配株を入手できたことは本研究の大きな進展につながるものと考えられる。開発したDNAの解析方法は迅速で安価な方法であり,多くの自生株の解析を容易に実施することが可能となった。また,研究計画に従い初年度に3系統のオウレン栽培を開始することができた。以上より概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の推進方策として,各系統における品質評価を実施する予定である。特に主要な成分であるアルカロイドの定量分析や内部形態の観察などを中心に3系統での比較を実施する。
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Causes of Carryover |
本年度に必要な物品に対して使用した結果,4円の未使用額が生じた。
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