2020 Fiscal Year Research-status Report
発育期における神経精神機能の発達異常に対する漢方治療の基礎的研究
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20K07119
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
荒木 良太 摂南大学, 薬学部, 講師 (90710682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢部 武士 摂南大学, 薬学部, 教授 (40239835)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 漢方薬 / 腸内細菌 / 発達障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床現場では、発達障害に対して、抑肝散や大柴胡湯などの漢方薬が重い副作用を伴わずに有効性を示す症例が報告されており、漢方薬が神経精神機能の発達異常に対する治療の選択肢なり得るものと考えられる。しかしながら、漢方薬が神経精神機能の発達に与える影響やその作用機序などの科学的根拠はこれまでに示されていない。 そこで本研究では、漢方薬が神経精神機能の発達に与える影響を明らかにするために、発育期の環境により神経精神機能に異常が見られる動物モデルである隔離飼育マウスを用いて、細胞外セロトニン増加作用や抗うつ/不安様作用を示す加味温胆湯を3週齢から6週齢の3週間(発育期)において経口投与し、9週齢時の行動を解析した。 その結果、加味温胆湯(1000 mg/kg/day)の投与により、隔離飼育マウスが示す新奇環境下における多動や他のマウスと遭遇した際の多動などの異常行動が減少する傾向が見られた。しかしながら、その効果は顕著なものではなかった。その原因として、漢方薬の投与が終了する6週齢以降も隔離飼育を続けていることで、漢方薬投与終了後の環境が漢方薬による異常行動の予防効果を減弱させた可能性が考えられる。 今後、隔離飼育マウスを用いて、3週齢から6週齢の3週間だけでなく、6週齢から9週齢の3週間における投与が異常行動に与える影響を解析する。また、隔離飼育マウス以外に、腸内細菌の異常に起因する神経精神機能異常モデルにおいても検討を行う。加えて、加味温胆湯以外に大柴胡湯といった消化器症状に用いられるような漢方薬についても検討を行い、腸内細菌を標的とした神経精神機能の発達異常に対する漢方薬の効果についても解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延により、研究を一時中断したため。 特に、隔離飼育マウスなどの長期間飼育する必要がある動物モデルを用いた研究は、大きく影響を受けた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は隔離飼育マウスに加えて、腸内細菌の異常に起因する神経精神機能異常モデルを用いた解析も進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は研究に遅れが生じており、使用研究費が少なくなったため。
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