2022 Fiscal Year Research-status Report
歯周病関連疾患を予防・改善する抗糖化及び抗歯周病原菌活性プレニル誘導体の探索研究
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20K07122
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
池田 剛 崇城大学, 薬学部, 教授 (80295138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 龍馬 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10370959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 歯周病菌 / 糖化最終生成物 / ウィキョウ / ペトロセリン酸 / プレニルフラボノイド / ホップ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、歯周病菌の増殖抑制活性物質の探索、ならびに、糖化最終産物の生成を阻害する化合物の探索を行った。 歯周病菌Porphyromonas gingivalis(以下、Pgと略)増殖抑制活性の観測されたウィキョウのヘキサン抽出物(HEF)の詳細な分離精製の結果、ペトロセリン酸(cis-6-octadecenoic acid)をHEFの主要な抗菌性化合物として同定した。さらにHEFの抗菌活性について検討した結果、Pgに対して迅速な溶菌活性とタンパク質分解酵素ジンジパイン阻害活性という2つの異なる重要な作用があることがわかった。また、HEFは細菌表面のダイナミクスに影響を与え、押し出し型のナノ構造体の出現やOMVの過剰産生をもたらすことが示された。さらに、HEFはRagA/RagBに富むOMVの細胞外放出を引き起こすことで、Pgに必須のRagA/RagB輸送機構を劇的に枯渇させることも明らかになった。 飲食可能な抗糖化素材の探索の一環として、プレニル誘導体の豊富なホップについて活性化合物の同定を目的に成分研究を行った。抗CMA(Nε-(carboxymethyl)arginine)抗体を用いたELISA法によるCMA生成阻害試験を指標に各種クロマトグラフィー(分子篩カラムSephadex LH-20、分取HPLC(ODS、Phenyl、HILIC等))を繰り返し分離精製を行った。その結果、ホップの代表成分であるキサントフモールをはじめとするプレニルカルコン、プレニルフラボノイド類を7種類得ることができた。各化合物のCMA生成阻害活性はイカリソウより得られたプレニルフラボノイドepimedokoreanin Bに比べて弱いながらもキサントフモールDに最も強い活性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯周病菌増殖抑制活性物質としてペトロセリン酸を同定すると共にその歯周病菌Pg菌に対する阻害メカニズムについて詳細に検討することができた。これまでの検討より、ウィキョウのヘキサン抽出物が優れた抗歯周病改善素材であることを明らかとすることができた。さらに、抹茶エキスの有効化合物の検討を行っている。 抗糖化活性物質の探索においては、当初予定していたグリーンルイボスの高分子画分の化学構造の検討が未解決であるが、イカリソウの活性化合物epimedokoreanin Bに特徴的な化学構造プレニル基を有する化合物が得られるホップについて、新たにCMA生成阻害活性を指標とした成分研究を行った。そして、7種のプレニル誘導体を単離し生成阻害活性を評価することができた。また、飲食可能な生薬や食品素材のエキスを調製し、新たな活性化合物を得る試みも展開している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの共同研究より、抗糖化活性物質の探索として単離したイカリソウのプレニルフラボノイドが歯周病菌増殖抑制活性もあることが判明した。そこで、本研究の最終年度である次年度は、イカリソウやホップに含まれるプレニル誘導体の歯周病菌増殖抑制活性の評価を行い、構造活性相関の知見を得ることを目指す。また、抗糖化活性物質の探索研究においては、引き続きプレニル基を有するホップの未精製活性画分の精製を行うと共に,更なるプレニル基含有素材の抽出分離も計画している。また、エキスライブラリーの充実を行い、新たなカテゴリーの化合物を抗糖化物質として探索できないかの検討も行っていく計画である。
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Causes of Carryover |
新たに研究分担者として加入する研究者に30万円の分担金を調整したところであるが、私の事務手続きの申請が遅れたため、次年度の令和5年度に30万円は支給することとなった。残額259,685円は年度末にまとめて消耗品を購入するよりも次年度に繰り越して、研究に伴い随時必要となる試薬類の購入に充てることが良いと判断した。
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Research Products
(8 results)