2021 Fiscal Year Research-status Report
臨床応用を指向したメカニズムに基づく抗菌薬の動的PK/PDモデルの構築と評価
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20K07127
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山本 武人 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (00376469)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 抗菌薬 / PK/PD理論 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
抗菌薬を投与する際は、薬物動態/薬力学(Pharmacokinetics/pharmacodynamics:PK/PD)理論に基づき、PK/PD目標値を達成可能な投与量設計を行うことが重要であることが実臨床において広く受け入れられている。しかし、PK/PD目標値の多くは抗菌薬の投与を受けた患者の治療成功確率とその時の血中濃度の相関性から設定されていることがほとんどであり、クリアランス、消失半減期などのPKパラメーター、および殺菌速度定数などのPDパラメーターからボトムアップ的に推定する方法論はほとんど採られていない。そのため、腎機能や肝機能が低下した患者、血液浄化療法が導入された患者など、PK特性が極めて特殊なために、一般的に用いられているPK/PD目標値を達成する投与設計が困難な患者において、PK/PD理論を応用することは非常に困難である。 本研究の目的は、抗菌薬のPK/PD目標値を基本的なPKおよびPDパラメーターの関数として記述することで、様々なPK特性を有する患者における最適なPK/PD目標値を推定する可能な方法論を提案することである。本研究の完成により、これまで困難であった重度腎障害患者や血液浄化療法導入患者など、薬物動態特性が極めて特殊な患者に対するPK/PD理論の応用が可能となることが期待される。 2021年度は、研究計画に則り、研究対象となる抗菌薬のPDパラメーターを学術論文から収集すると共に、MATLABを用いたPK/PDシミュレーションを実施した。その結果、一部の抗菌薬について、健常成人におけるPKパラメーターおよび文献より収集したPDパラメーターから、臨床的に決定されたPK/PD目標値を再現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画では、2020~2021年度に文献検索による基礎情報の収集及び抗菌薬のPK/PDシミュレーションの大部分を完成する計画であった。しかしながら、COVID-19感染拡大による実務実習や講義の負担の増加もあり、2020年度には十分な進捗を得ることが困難であった。2021年度には状況はやや改善したものの、2020年度の遅れを取り戻すには至っておらず、全体的な進捗評価としてはやや遅れていると判定した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度には、文献からのデータ収集およびPK/PDシミュレーションを引き続き進めるが、その際に、本研究分野に詳しい薬剤師・医師の協力や助言を仰ぐ予定である。また、特殊疾患状態にある患者の血中薬物濃度の測定についても、ピペラシリン・タゾバクタムや抗MRSA薬など、使用患者数の多い抗菌薬の優先順位を上げて実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
2021年度には研究のウェイトを文献探索とPK/PDシミュレーションに置き、実際の血中濃度分析等の実施に遅れが生じたため、次年度使用額が発生した。 2022年度には、血中濃度分析を進めるべく、計画的に消耗品を購入することで研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)