2020 Fiscal Year Research-status Report
Preventive effect of medical gas, hydrogen, on cerebral infarction neuropathy and mechanism of persistent oxidative stress resistance
Project/Area Number |
20K07133
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
野田 百美 九州大学, 薬学研究院, 准教授 (80127985)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 医療ガス / 分子状水素 / 抗酸化ストレス / 神経保護作用 / ミトコンドリア / エネルギー代謝 / 電子伝達系 |
Outline of Annual Research Achievements |
酸素(O2)や一酸化窒素(NO)に続き、新しい医療ガスである分子状水素(水素ガス: H2)について、パーキンソン病モデルに続き、脳梗塞モデルを用いて、生理学、病態生理学、生物物理学的な解析を行い、予防医学におけるH2の効能、特に神経保護作用についてそのメカニズムを検証することである。その理由は、最小のガス分子による神経保護作用のメカニズムを解明されてば、健康長寿の延長と医療費削減に貢献することができるからである。 主な検討項目は:1)脳虚血・再灌流モデルにおけるH2の予防効果、2)グレリンを介した胃・脳連関の検討、3)グレリン産生細胞におけるH2のグレリンmRNA亢進のメカニズム、4)H2による抗酸化物質蓄積の解明、である。 当該年度は、1)と4)について検討した。 1)脳虚血・再灌流モデルにおけるH2の予防効果:脳卒中・脳梗塞と呼ばれる脳虚血・再灌流障害は、神経細胞体(灰白質)の障害に加え、神経軸索部分(白質)の障害が後遺症に大きく関与している。脳白質のモデルであるマウス視神経を用い、予めH2水を投与したマウスから摘出した視神経は、無酸素・無グルコース(OGD)にしても、複合活動電位(CAP)が完全に消失することなく、再灌流後の回復も顕著に良かった。そこで、動物レベルで同様に虚血・再灌流による神経障害を予防できるのかを確認する。10-14日間H2水を飲ませ、脳梗塞モデルを作成した。コントロール群と水素水飲用群でそれぞれ5例ずつデータを得た。 4)Neuro2A細胞株を用いたミトコンドリアレベルでの検討は、H2投与によるキノン、還元型ユビキノールの変化をHPLCで解析中であり、結果の解釈に難航しているが、面白い発見ができそうである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脳虚血・再灌流モデルは、中大脳動脈(MCA)梗塞1時間後、再灌流を行い、24時間後に脳固定、梗塞巣を染色・観察するものであるが、MCAへのスーチャー挿入が難しく、かなりの熟練が必要であり、十分、熟練したつもりであったが、それでも個体差が大きく、結果のバラつきが大きく、やっと出した第一ラウンドの結果は、コントロール群と水素水飲用群に有意差がつかなかった。従って、さらに例数を増やして検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
脳虚血・再灌流モデルの作成をさらに短時間が行うよう練習を積み、個体差が小さくなるように努力する。 その上で、グレリンを介した胃・脳連関の検討を行なう。 Neuro2A細胞株を用いたミトコンドリアレベルでの検討は、さらに条件設定を変え、例数を増やして検討する。 グレリン産生細胞におけるH2のグレリンmRNA亢進のメカニズムについては、細胞を譲渡してもらい、実験に着手する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス禍で研究が中断し、学会出張ができなかったため。
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