2020 Fiscal Year Research-status Report
脂質異常症患者に対する薬局薬剤師の介入モデルの構築と臨床的アウトカムの評価
Project/Area Number |
20K07138
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
向後 麻里 昭和大学, 薬学部, 教授 (70343499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬局薬剤師 / 脂質異常症 / 心血管イベント / 無作為化比較試験 / 疾病管理 / かかりつけ薬剤師 / 生活習慣病 / 薬剤師介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質異常症患者における治療効果の維持と心血管イベント発症リスクの抑制を目的に、薬局薬剤師が介入モデルに従い積極的に指導し、その臨床的アウトカムを評価する。薬局薬剤師の介入モデルを用いた積極的指導により、脂質異常症患者の治療効果を維持し、心血管イベント発症リスクを抑制する可能性が期待できる。2020年度は、研究対象施設の抽出、薬局薬剤師の研修プログラムの構築とその評価、薬局薬剤師の介入モデルを構築した。 ①研究対象施設の抽出:20店舗の薬局に研究の協力を呼びかけ、10店舗の薬局より承諾を得ることができた。 ②脂質異常症をテーマとした薬局薬剤師の研修プログラムの構築とその評価:薬局薬剤師の質を担保するため、薬局薬剤師約40名を対象に、脂質異常症をテーマとしたオンライン研修会を実施した。研修内容は、脂質異常症、その治療薬、栄養・運動・禁煙の管理、研究倫理、研究概要の説明とした。研修会終了後に確認試験を実施し、一定の到達度に達したことを確認した。到達しない薬剤師においては確認試験を2回実施した(1回目に到達した薬剤師:54%、2回目に到達した薬剤師:92%)。 ③脂質異常症患者を対象とした薬局薬剤師の介入モデルの構築:薬局薬剤師の介入モデルを作成した。介入のタイミング・期間は、1回/月・半年間とした。患者への確認項目は、検査値(LDL・HDL・TG)、体重、腹囲、疾病や服薬などの管理状況とし、管理状況に合わせた評価・指導ツールを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はおおむね研究計画通りに研究を遂行することができた。脂質異常症をテーマとした薬局薬剤師の研修プログラムを構築し、オンライン研修会を実施することができた。しかしながら、COVID-19 の影響により、一部の項目については研修会を実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、脂質異常症薬を服用している患者を対象に、薬局薬剤師は介入モデルに従い、積極的に指導し、臨床的アウトカム(検査値、体重、腹囲など)を測定する。デザインは無作為化比較試験とし、介入群と非介入群の臨床的アウトカムを比較し、介入モデルの有用性を評価する。 ①脂質異常症患者を対象とした薬局薬剤師の積極的介入:対象患者はスタチンを服用している患者約100例とする。デザインは無作為化比較試験(封筒法)とし、患者の割り付けは、介入群50名、非介入群50名とする[各薬局10名(介入群5名、非介入群5名)×10薬局]。薬剤師の介入するタイミング・期間は、1回/月・半年間とする。患者に検査値(LDL・HDL・TG)、体重、腹囲、疾病や服薬などの管理状況を確認し、管理状況に合わせた指導ツールを用いて積極的指導を実施する。 ②臨床的アウトカムの評価:評価時期は1回/月×6か月とする。主要評価項目は、心血管イベント発症リスクスコア、検査値(LDL・HDL・TG)、体重、腹囲、副次評価項目は、服薬・栄養・運動・禁煙の管理状況とする。介入群と介入群で主要・副次的評価項目について比較検討する。
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Causes of Carryover |
(理由)COVID-19 の影響により、薬剤師の研修プログラムの一部である医師や栄養士の講習会を実施することができなかった。そのため、2021年度に医師や栄養士の講習会を実施する。また、オンライン研修会を実施したため交通費がかからなかった。さらに、同影響により研究の補助者を依頼することができなかったため、2021年度は研究補助者を依頼する。 (使用計画)医師や栄養士の講習会に必要な費用を算定する予定である。また、研究補助者に必要な費用を算出する予定である。
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