2021 Fiscal Year Research-status Report
脂質異常症患者に対する薬局薬剤師の介入モデルの構築と臨床的アウトカムの評価
Project/Area Number |
20K07138
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
向後 麻里 昭和大学, 薬学部, 教授 (70343499)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬局薬剤師 / 脂質異常症 / 心血管イベント / 無作為化比較試験 / 疾病管理 / かかりつけ薬剤師 / 生活習慣病 / 薬剤師介入 |
Outline of Annual Research Achievements |
脂質異常症患者における治療効果の維持と心血管イベント発症リスクの抑制を目的に、薬局薬剤師が介入モデルに従い積極的に指導し、その臨床的アウトカムを評価する。薬局薬剤師の介入モデルを用いた積極的指導により、脂質異常症患者の治療効果を維持し、心血管イベント発症リスクを抑制する可能性が期待できる。 2021年度は、脂質異常症患者を対象に構築したモデルを用いて薬局薬剤師による積極的指導を実施した。デザインは非盲検多施設無作為化比較試験、参加者はスタチンを服用している脂質異常症患者とし、10薬局で募集した。対照群は通常の服薬指導、介入群は通常の服薬指導に加え構築したモデルを用いた指導を4回行った。主要評価項目は吹田スコア(心血管イベント発症リスクスコア)の変化量、LDL・HDL・TG、体重、血圧、副次的評価項目は服薬・栄養・運動・禁煙の管理状況とした。介入群と対照群で主要・副次的評価項目について比較検討した。 2021年度3月での記述統計量を示す。10薬局で合計18人の参加者が登録され、2名が除外、1名が脱落した(介入群9名、対照群6名)。15名の平均年齢は61.5歳、男性が13%、60%がロスバスタチンを服用していた。LDL値の平均は105.3±21.8㎎/dL、HDL値は71.4±22.7㎎/dL、TGは118.6±54.8㎎/dLであり、正常範囲内の患者が多かった。収縮期血圧の平均は147.2±10.3㎜Hg、拡張期血圧は90.8±10.4㎜Hgであり、やや高い傾向にあった。吹田スコア(心血管イベント発症リスクスコア)の平均値は42.6±6.6であり、中リスク群が多かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脂質異常症患者を対象に、薬局薬剤師は介入モデルに従い、積極的な指導を実施した。しかしながら、COVID-19 の影響により、薬局に来局する脂質異常症患者が減少した。また、薬局薬剤師がコロナ感染症に罹患および濃厚接触により業務停止となったため、薬局内の薬剤師数が減少し、半数の薬局が参加者を募集できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は、引き続き脂質異常症薬を服用している患者を対象に、薬局薬剤師は介入モデルに従い、積極的に指導し、臨床的アウトカム(吹田スコア、検査値、体重など)を測定する。また、介入群と対照群の臨床的アウトカムを比較し、介入モデルの有用性を評価する。 ①脂質異常症患者を対象とした薬局薬剤師の積極的介入:対象患者はスタチンを服用している患者約100例とする。デザインは無作為化比較試験(封筒法)とし、患者の割り付けは、介入群50名、非介入群50名とする[各薬局10名(介入群5名、対照群5名)×10薬局]。薬剤師の介入するタイミング・期間は、1回/月・半年間とする。患者に検査値(LDL・HDL・TG)、体重、腹囲、疾病や服薬などの管理状況を確認し、管理状況に合わせた指導ツールを用いて積極的指導を実施する。 ②臨床的アウトカムの評価:評価時期は1回/月×6か月とする。主要評価項目は、吹田スコア(心血管イベント発症リスクスコア)、検査値(LDL・HDL・TG)、体重、血圧、副次評価項目は、服薬・栄養・運動・禁煙の管理状況とする。介入群と対照群で主要・副次的評価項目について比較検討する。 ③結果の公表:学会にて発表し、英文誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
(理由)COVID-19 の影響により、薬局に来局する脂質異常症患者が減少した。また、薬局薬剤師がコロナ感染症に罹患および濃厚接触により業務停止となったため、薬局内の薬剤師数が減少し、半数の薬局が参加者を募集できなかった。 (使用計画)引き続き参加者を募集し、脂質異常症患者を対象に薬局薬剤師により介入モデルを用いて積極的指導を実施する。
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