2022 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of platinum-containing drugs on tissue and cellular distribution of trace metal-relaterd proteins
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20K07143
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Research Institution | Osaka Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
中村 任 大阪医科薬科大学, 薬学部, 教授 (80379411)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プラチナ / 癌化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内微量元素(バイオメタル)は生命現象と深く関わっている。申請者はこれまでに、癌化学療法で汎用されるプラチナ系抗癌薬投与後のバイオメタル変動を患者血液検体を用いて検討し、一部のバイオメタルの血中動態が変動することを明らかにしてきた。本年度は、プラチナ系抗がん剤投与患者における長期の消失過程に及ぼす要因解明のため、プラチナの濃度濃度推移と臨床検査値との連関解析を行った。 食道癌5-FU/シスプラチン併用療法を施行された患者におけるシスプラチン最終投与後29日~590日の血漿サンプルを、マイクロ波試料分解装置による灰化処理後、ICP-MSで測定した。その結果、評価期間においてプラチナはその血漿中濃度に比例して消失する一次速度過程をとり、消失速度定数から算出される血中半減期は418時間(17.4日)から844時間(35.2日)であった。これらの値は、既に報告した同一患者におけるシスプラチン投与後約1ヶ月までの半減期と比較して1.27倍から1.95倍の値であり、半減期が延長する傾向にあった。シスプラチンは主に腎臓から排泄されるが、観察期間中のプラチナの半減期と平均血清クレアチニン値との間に相関関係は認められなかった。一方、シスプラチンは血中でアルブミンと強く結合することが報告されており、観察期間中のプラチナ半減期と平均血清アルブミン値との間に良好な相関関係が認められた。血清アルブミン値が低い患者における相対的に早い血中からのプラチナ消失はシスプラチンが血管外組織に移行しやすいことを反映している可能性があり、低栄養状態で末梢性神経障害の発症リスクが高まる報告とも矛盾しない結果と考えられた。
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Research Products
(4 results)