2021 Fiscal Year Research-status Report
治療抵抗性慢性骨髄性白血病における耐性因子の同定と新規耐性克服法の開発
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20K07145
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西田 升三 近畿大学, 薬学部, 教授 (40208187)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / BCR-ABL1阻害薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はBCR-ABL1に点変異を認めないBCR-ABL1阻害薬耐性慢性骨髄腫細胞における耐性獲得機序の解明とその機序を阻害する分子標的薬を見出すことを目的としている。令和3年度では、引き続きイマチニブ耐性細胞、ダサチニブ耐性細胞及びポナチニブ耐性細胞を用いてBCR-ABL1阻害薬耐性獲得機序について解析を行った。マイクロアレイ等を用いて遺伝子発現の解析にて同定した因子に関して、siRNAをBCR-ABL1阻害薬と併用することで、BCR-ABL1阻害薬耐性を克服できることも見出している。さらに、これら因子の分子標的薬とBCR-ABL1阻害薬を併用することで、耐性が克服されるか検討したところ、耐性が克服されることを見出した。 また、耐性克服の詳細な機序を解析するため、耐性に関与する因子の下流シグナル因子およびアポトーシス関連因子の解析を行い、数種の因子が関与する可能性を見出している。 以上のことから、マイクロアレイ等の遺伝子発現解析で見出した因子がBCR-ABL1阻害薬耐性に重要であり、これら因子の阻害がBCR-ABL1阻害薬耐性克服に重要であることが示唆された。さらに、この因子の下流シグナルの活性化がアポトーシス関連因子の発現動態に影響する可能性が示唆された。 今後は、同定した因子に関わる全シグナル伝達経路活性化機構の解析するとともに、活性化が認められた下流シグナル因子阻害薬(分子標的薬)を用いてBCRABL1阻害薬耐性が克服できるか検討を進めていく予定である。さらに、BCR-ABL1阻害薬耐性克服が認められた分子標的薬については、in vivoにてBCR-ABL1阻害薬耐性細胞の腫瘍増殖が抑制できるかについても検討を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度においてイマチニブ耐性細胞、ダサチニブ耐性細胞及びポナチニブ耐性細胞を樹立し、マイクロアレイ等を用いて同定した数種類の因子のsiRNAによるノックダウンにより、BCR-ABL1阻害薬耐性を克服できることも明らかにした。また、これら因子の分子標的薬との併用により、耐性克服が認められることも見出している。さらに、見出した数種類の因子は、下流シグナル因子を活性化させ、アポトーシス関連因子の発現に影響を与える可能性を見出している。現在は、見出した耐性に関与する因子の全シグナル伝達経路活性化機構を解析し、BCR-ABL1阻害薬耐性機構を明らかにするとともに、in vivoの解析を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は樹立したイマチニブ耐性細胞、ダサチニブ耐性細胞及びポナチニブ耐性細胞の耐性機構、特に全シグナル伝達経路活性化機構の解析を進めていく。 具体的には、同定したBCR-ABL1阻害薬耐性因子に関するシグナル伝達経路を網羅的に解析し、主要なシグナル伝達経路を同定する。また、同定したシグナル伝達経路の阻害薬(分子標的薬)を用い、BCR-ABL1阻害薬耐性が克服されるか検討を進めるととに、正常細胞に影響を及ぼさない最適な組み合わせを見出す。さらに、見出したBCR-ABL1阻害薬と分子標的薬の併用により、in vivoにおいて耐性が克服できるか検討を進めていく予定である。
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