2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of new therapeutic strategy and elucidation of fibrinolytic pathophysiology which play a key role in multiple thrombus formation in disseminated intravascular coagulation
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20K07151
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菅 幸生 金沢大学, 薬学系, 准教授 (00467101)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | DIC / 線溶療法 / 多臓器不全 / 出血症状 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、LPS誘発DICモデル(線溶抑制型DIC)に対する組織型プラスミノゲンアクチベータ(tPA)の有効性評価に取り組んだ。tPAは、プラスミノゲンをプラスミンに変換し、フィブリン血栓の溶解を促進する。すなわち、線溶機序を直接的に活性化する因子である。 tPAの投与により、D-dimerの上昇(線溶活性化の亢進による血栓の溶解)、PAI活性の低下、腎機能障害の改善、腎糸球体におけるフィブリン沈着の軽減がみられた。さらに、tPAは血小板減少も抑制しており、単に血栓の溶解を亢進するだけに留まらず、血栓形成の抑制効果を有することが示唆された。これらの結果より、線溶抑制型DICの病態が改善することが示された。特に、投与方法をone shot静注ではなく、持続注入とすることで、tPAの最大の有害事象である出血を助長することなく、DIC病態を改善させることが可能であった。 一方、tPA投与により、炎症性サイトカインであるIL-6の有意な低下がみられた。これはtPA投与によって、DICで多発する微小血栓が溶解され、組織における微小循環動態が維持された結果であると考えられた。tPAの投与により、血栓が溶解されるだけではなく、凝固活性化の主因の一つでもある炎症を抑制できたことは、DICに対する新規治療薬の確立を目指す、今後の研究の発展につながる意義のある結果が得られた。 線溶抑制型DICに対するtPAの持続投与は、血栓溶解の亢進、多臓器不全を改善する点から、DICの新規治療法として有用である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、実験の停止期間があったため
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Strategy for Future Research Activity |
実験群を調整し、研究期間内に目的が達成できるようにする
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、実験の停止期間があったため、その期間の実験に使用する予算を繰り越すこととなった
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