2021 Fiscal Year Research-status Report
ユビキチンリガーゼ活性を制御するmiRNAのパーキンソン病治療に対する有用性検証
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20K07154
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
大村 友博 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (00439035)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユビキチンリガーゼ / microRNA / パーキンソン病 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)治療ではレボドパによる対症療法が主であり、新たな作用機序に基づく治療薬が期待されている。申請者はこれまでPDと小胞体ストレス関連ユビキチンリガーゼHRD1、安定化分子SEL1Lとの関連性について研究を行ってきたが、近年microRNA(miRNA)がこれら分子の発現を制御する可能性が示唆されている。 申請者は、PDモデル細胞を用いてHRD1/SEL1Lを制御するmiRNAを探索したところ、SEL1Lの発現を制御するmiRNAとしてmiR-101を見出した。今回、miR-101によるPDモデルへの影響について検討した。また、HRD1を制御するmiRNA候補についても合わせて検討した。 まず、miR-101を遺伝子導入すると、PDモデルで誘導されるSEL1Lの蛋白質発現量上昇が有意に抑制されただけでなく、HRD1の蛋白質発現量も抑制されることが明らかとなり、PDモデルで認められる細胞死が増強することが判明した。一方、miR-101 inhibitorを遺伝子導入すると、PDモデルで誘導されるSEL1Lの蛋白質発現量上昇が更に増加し、HRD1の蛋白質発現量もさらに増加することが判明し、PDモデルによる細胞死を抑制することが判明した。以上より、miR-101はSEL1Lの発現制御を介してPDモデルによける細胞死を制御することが明らかとなった。 次に、HRD1を制御するmiRNAを既報とin silicoスクリーニングで探索したところ、候補として5つのmiRNAが抽出された。そして、PDモデルを用いてmiRNAの発現量変化について検討したところ、一つのmiRNA(miR-Yとする)がHRD1を制御するmiRNA候補として見出した。今後詳細に解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初は新型コロナウイルス感染症の対応のため研究に遅滞が生じたが、大学院生が本研究に本格的に参画し、いくつかの実験を並行して効率よく行う体制ができたこともあり、進捗・発展が認められた研究を優先的に行うことが可能となった。動物実験について少し遅れているが、現在鋭意進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、HRD1を制御すると考えられるmiR-Yが、PDモデルにおいてHRD1の蛋白質発現量に変化を与えるか、またPDモデルにおける細胞死に影響を与えるか検討する。 また、miR-101の発現制御を介してSEL1L/HRD1を活性化する化合物を探索し、PDモデルにける細胞死を抑制するか等について検討する。
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Causes of Carryover |
令和3年度に行う実験の一部を令和4年度に行うことになり、その分が執行されなかったため、残額が生じた。 令和4年度はHRD1を制御すると考えられるmiR-Yを遺伝子導入した際、PDモデルにおいてHRD1蛋白質発現量が変化するかについてや、PDモデルにおける細胞死に対する影響を検討する予定であり、それらに必要な抗体や細胞死を評価する試薬などを購入する予定である。 また、miR-101を介してSEL1Lの発現を制御する化合物を同定後、SEL1L発現量への影響やPDモデルによって生じる細胞死への影響などを評価するため、リアルタイムPCR関連試薬や細胞死を評価する試薬などを購入する予定である。
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