2020 Fiscal Year Research-status Report
ALS患者iPS細胞由来ミクログリアを用いた炎症反応模倣BBB評価系の構築
Project/Area Number |
20K07160
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
坡下 真大 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 講師 (20613384)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松永 民秀 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 教授 (40209581)
諫田 泰成 国立医薬品食品衛生研究所, 薬理部, 部長 (70510387)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | iPS細胞由来BBB構成細胞 / ALS患者iPS細胞由来ミクログリア |
Outline of Annual Research Achievements |
運動ニューロンが障害を受ける筋萎縮姓側索硬化症(ALS)の脳内神経変性部位において、血液脳関門(BBB)が破綻していることが近年報告されており、神経変性要因の一つと考えられている。脳毛細血管内皮細胞、脳ペリサイト、アストロサイトから構成されるBBBの破綻には、炎症反応を活性化するミクログリアが関与していると考えられているが、ミクログリアによる炎症反応がどうのようにBBBを破綻させているのかは分かっていない。本研究では、ALSにおけるBBB破綻のメカニズムを解明するために、iPS細胞から構築したBBB構成細胞とALS患者iPS細胞由来ミクログリアを共培養した炎症反応模倣in vitro BBB評価系を構築することを目的としている。 本年度は、BBB構成細胞およびミクログリアの共培養法の条件設定を行う予定であったが、新型コロナウイルスの影響により研究が長期間止まったため、当初の予定より大幅に遅れてしまった。そこで、当初の実験方法とは異なるが、既にiPS細胞から分化誘導された健常人iPS細胞由来ミクログリアおよび健常人iPS細胞由来アストロサイトを購入し、我々が健常人iPS細胞から分化誘導した血管内皮前駆細胞およびペリサイトをセルカルチャーインサート内にて共培養できる条件設定の検討を行った。しかしながら、年度途中より世界的なセルカルチャーインサートの供給困難が発生し、実験の継続が困難となってしまったため、充分な結果を得られずに中止している。今後、供給安定後に共培養法の条件設定を再度行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度前半は、新型コロナウイルスの影響により研究が止まったため、当初の予定より大幅に遅れてしまった。現在、健常人iPS細胞由来ミクログリアおよび健常人iPS細胞由来アストロサイトを購入し、健常人iPS細胞から分化誘導した血管内皮前駆細胞およびペリサイトをセルカルチャーインサート内にて共培養できる条件設定を行っている。 上記理由からALS患者由来iPS細胞の入手に時間がかかっており、iPS細胞由来ミクログリア分化誘導法の確立においては、ヒトiPS細胞からミクログリア前駆細胞の構築に取り掛かっている。 本年度はこのような理由から、今年度達成すべきマイルストンに到達しておらず「遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の要であるALS患者iPS細胞由来ミクログリアの作製に取り掛かることができなかったため、今年度、取り組んだヒトiPS細胞由来ミクログリア前駆細胞の構築を元に、ALS患者iPS細胞由来ミクログリアの作製に着手する。 また、ヒトiPS細胞由来BBB構成細胞およびミクログリアの共培養実験を継続し、条件設定が確立した段階でALS患者iPS細胞由来ミクログリアと健常人iPS細胞由来BBB細胞との共培養実験に着手する。
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Causes of Carryover |
今年度は新型コロナウイルスの影響により、長期間に渡って研究が中断してしまった。また、研究再開後も、共培養実験に必要なセルカルチャーインサートの供給が世界的に滞り、実験を継続することが難しくなってしまった。そのため、消耗品等の購入に使用予定であった予算が余ってしまった。次年度、共培養実験に関しては同様の実験を行うことから、これら次年度繰り越し金額を全て使用する予定である。
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