2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of a continuous manufacturing system for orodispersible films: Towards personalized formulations
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20K07167
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
井上 元基 明治薬科大学, 薬学部, 講師 (90722950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ラマン分光 / 含量均一性試験 / フィルム製剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィルム製剤はコーティング層または性質の異なる有効成分を2種類以上含む場合には多層化する必要がある。これまでの反射ラマン測定では表面のみの情報で、内部の層の情報は得られていない。そこで本年度はフィルムの厚さ方向の情報の得られる透過分光へと改良を行い、二層フィルムの分析を試みた。 疎水性と浸水性の薬物をそれぞれ、疎水・親水溶媒からなる高分子溶液に溶解させた。溶液を順次乾燥させることで二層フィルムを調製し、その透過ラマンスペクトルを取得した。レーザーを点から横方向にライン状にできるPawelレンズを適用して横方向の濃度も平均化したスペクトルの取得も試みた。 透過ラマンスペクトルは得られるもののその強度は非常に小さく、レーザー強度を上げる必要があった。ただし、強度を上げすぎるとフィルムの分解が起こるので、それが起こらない程度の範囲で実験した。スペクトルをケモメトリックス解析して求めた予測値とHPLCを用いて定量した実測値との関係には相関関係があるものの、その誤差は予期せず10%を超えてしまい、実用は困難と考えられた。この理由にはサンプルの透明性と表面およびフィルム界面のわずかな凹凸が考えられ、透過分光で透明フィルムを分析するのは困難であることがわかった。また、横方向への励起光を伸ばし、流れてくるフィルム全体を捉える試みをしたが、励起レーザーおよび散乱をシグナルとして取得するコリメータの焦点はごくわずかで、フィルムの厚さを大きく超えてしまい、スペクトル取得はできないことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ラマンスペクトルから求めたフィルム中薬物濃度はHPLCで求めた実測値と相関した。しかし、誤差は10%以上と大きく分析法として応用するには課題が多くあった。その理由として、フィルムの光学特性が考えられる。透過は反射測定と比較して散乱の少ない上に、透明の本品の場合、生じるラマン散乱はごくわずかであったためと考えられる。表面の微小な凹凸により、散乱強度が大きく変化することも影響することが考えられた。レーザーを点から横方向にライン状にできるPawelレンズを適用したが、測定に最適な焦点距離はごくわずかで、その中に測定対象となるフィルムを入れることは困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度はフィルム製剤中有効成分のモニタリングを行う。具体的な手法として、反射測定を用いて動いている状態のフィルム中の有効成分の定量のためのパラメータの最適化を行う。パラメータとしては露光時間、移動速度、焦点距離を変化させ、どの因子が測定精度に影響を及ぼすのか検討する。
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Causes of Carryover |
当初の計画よりも遅れている。次年度に投稿論文の英文校正費用と試薬購入費用として使用する予定である。
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