2021 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病における創傷治癒遅延に対するプロスタグランジンD2の役割
Project/Area Number |
20K07170
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Research Institution | Daiichi University, College of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
鎌内 朋子 (森山朋子) 第一薬科大学, 薬学部, 助教 (90400134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有竹 浩介 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (70390804)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | プロスタグランジンD2 / 糖尿病性皮膚潰瘍 / ランゲルハンス細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
創傷治癒遅延は、糖尿病患者に見られる合併症の一つであり、難治性である。これまでに高血糖状態の皮膚において HPGDSの発現が誘導されることを見出した。 そこで糖尿病マウスにおけるPGD2シグナルが創傷治癒遅延を引き起こしていることを証明するために以下について検討した。 まず、HPGDS由来のPGD2産生場所と産生細胞を特定するために、糖尿病マウスの皮膚切片を作製し、HPGDSに特異的な抗体を用い免疫染色を行った。また、ターゲットとする細胞に特異的なマーカー(肥満細胞:mast cell tryptase、ランゲルハンス細胞:ランゲリン)に対する特異的な抗体を用いた免疫組織学的解析を行った。その結果、HPGDSは表皮に存在する細胞に発現しており、ランゲリン陽性細胞に発現していることが分かった。また、肥満細胞トリプターゼ陽性細胞には発現していないことが明らかとなった。さらに染色の結果、非糖尿病マウスに比べ、糖尿病マウスの皮膚においてランゲリン陽性細胞が多かったため、糖尿病皮膚においてランゲリン陽性細胞が増加することでHPGDSの発現が増加していることが考えられたため、現在、ウェスタンブロットおよび定量的PCRにより確認中である。 さらに、糖尿病マウスの皮膚におけるPGD2受容体(DP1受容体、DP2受容体)発現についてmRNA発現量をreal-time PCR法により確認した。その結果、DP1受容体mRNA発現量に変化は見られなかったが、DP2受容体mRNA発現量は有意に増加していた。以上の事から、糖尿病マウスにおける創傷治癒遅延にDP2受容体が関与している可能性が考えられた。現在、受容体の発現部位についても検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響で初年度の遅れが影響しているため
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの成果から、糖尿病による創傷治癒遅延に皮膚ランゲルハンス細胞に発現するHPGDS由来のPGD2とDP2受容体が関与していることが示唆された。創傷治癒遅延にランゲルハンス細胞の数が増えることが重要なのか、また、DP2受容体の発現部位の特定とその役割について検討する。
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Causes of Carryover |
コロナの影響により初年度の実験計画が遅れたことが影響しているため。また、コロナの影響により参加した学会が一部オンライン開催となり旅費の支出が減ったため。
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