2020 Fiscal Year Research-status Report
肺腺癌の腫瘍細胞のみをピンポイントに排除するがん免疫療法の開発
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20K07177
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (00260737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 要 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (50437860)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | がん免疫療法 / 免疫複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん細胞のみを免疫標的とするには、がん細胞にしかない (特に細胞表面) 変異タンパク質 (Tumor-associated angiten, TAA) とその変異部分 (エピトープ) を特定しなければならない。肺腺癌患者の血清中の抗原-抗体複合体を形成している抗原 (免疫複合体抗原) を一斉同定し、特異的・高頻度に検出される免疫複合体抗原を見つける。この抗原は抗体が異物認識したTAAと考えられる。次にそのエピトープを特定し、エピトープ認識抗体での免疫染色でTAAが腫瘍細胞表面にあるか調べる。ここで細胞表面に認められれば免疫標的として非常に有望である。 免疫複合体抗原を一斉に検出・同定できる独自解析法 (イムノコンプレキソーム解析法) で血清から肺腺癌に特有の免疫複合体抗原の特定を試みた。免疫チェックポイント阻害薬 (ニボルマブ) の治療効果群では腫瘍破壊で腫瘍から変異タンパク質が多く漏出し免疫認識・抗体産生がより進んでいる可能性があり、実際にがんが排除された患者でみつかるもので治療標的として有望と考えられる。 本年度は長崎大学病院ならびに栃木県立がんセンターで収集したニボルマブ投与患者(35例)の血清解析を行った。ここでは治療効果群に特に注目して検討を進めた。治療効果群(15例)と無効群(20例)の解析結果を比較したところ、効果群で高頻度に検出される免疫複合体抗原が9種類同定された。患者検体はいずれも初回治療を受けた患者であったが、治療後だけでなく治療前にも効果群に特徴的な免疫複合体抗原が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に目的とした肺腺癌、特にがん免疫療法効果群に特徴的な免疫複合体抗原の特定が予定通りに進み、次年度以降の研究に円滑につなげられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に同定した免疫複合体抗原が効果群に特徴的であることを統計学的手法で明らかにするとともに、各抗原のエピトープ特定を進める。
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Causes of Carryover |
当初予定した患者検体数より少ない検体数で解析を実施したため、消耗品の購入が少なく、次年度使用額として生じた。次年度はペムブロリズマブ治療患者の血清解析に必要な消耗品の購入に充てる予定である。
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