2022 Fiscal Year Annual Research Report
肺腺癌の腫瘍細胞のみをピンポイントに排除するがん免疫療法の開発
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20K07177
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中嶋 幹郎 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (00260737)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 要 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 准教授 (50437860)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 免疫チェックポイント阻害剤 / 免疫複合体 / 効果予測 / 抗原エピトープ |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に仮構築した手法について、モデル免疫複合体の種類ならびに架橋剤の種類を増やし、詳細な条件検討を行った。具体的には抗原をTNF-alphaまたはHER2とする複数の抗体医薬原料と各抗原を溶液中で混合してモデル免疫複合体を作製した。抗原-抗体間を架橋する架橋剤には、架橋された二分子間の距離を規定するスペーサーが含まれる。このスペーサーが異なる複数種類の架橋剤をそれぞれモデル免疫複合体溶液に添加して架橋物を形成させ、酵素消化して得られたペプチドをnano-LC-MS/MSで測定した。各モデル免疫複合体ごとに同定された架橋ペプチドを詳細に調べ、ペプチド数、抗原-抗体間架橋ペプチド数、抗体医薬が標的とする既知配列が含まれていることなどから、解析に適した抗原の種類や架橋剤の適否を検討した。 抗原に関しては分子量が大きいHER2は上記の比較項目でいずれも良好な結果を示した一方、TNF-alphaは架橋ペプチド自体が少なく、既知配列は検出されなかった。このことから、対象抗原としては一定の分子量が必要であることが示唆された。また、上記の項目に加え、同定された全ての架橋ペプチド数に対するエピトープ候補ペプチド数の割合を算出し、どの架橋剤がエピトープ特定に向いているかを、調べた。その結果、CDIを使用した際に最も効果的にエピトープ候補ペプチドを同定できていることがわかった。これは、CDIは最もスペーサー長が短く近接したペプチドを緩みなく架橋できることが理由と考えられた。
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