2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of gender and individual differences in chemotherapy-induced nausea and vomiting and comprehensive risk factors analysis
Project/Area Number |
20K07179
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
辻 大樹 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90565615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 化学療法誘発性悪心・嘔吐 / リスク因子 / 遺伝子多型 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法誘発悪心・嘔吐(CINV)は、患者にとって苦痛度の高い代表的な有害事象であり、QOLの低下や治療継続の拒否と関連している。現在の制吐療法ガイドラインではDEX + 5-HT3RA + NK1RAの3剤併用がシスプラチン等の高度催吐性レジメンに対する標準的な予防制吐療法として明記され、広く普及している。しかし、未だ40%程度の患者は治療開始から5日以内にCINVを経験している。CINV発現に影響する因子として性別、年齢、抗がん薬の催吐性等が知られているが、これらの要因で個人差を説明することは困難であり、患者個々の遺伝的因子の解明が検討課題となっている。 2021年度は本邦で実施された日本人患者を対象とした3つの前向き臨床試験で収集した既存試料を活用し、3つのデータを統合したうえでCINV発現と遺伝子多型との関連性及び性差について検討した。また、乳がん患者は罹患年齢の低い女性が多く、高リスク集団に該当することから、収集したデータを用いて閉経及び悪阻に着目した検討を行った。 全集団を対象とした解析では急性期で年齢、AC療法、CYP3A4 rs2242480の3因子が、遅発期で女性が独立したリスク因子であることが示された。 AC療法が施行された女性患者のみに焦点を充てた検討では妊娠時の悪阻の経験が遅発期のCINV発現のリスク因子となることが明らかとなった。出産経験のある患者を閉経の有無で2群に分け、多変量解析を行ったところ、遅発期の閉経なし群においてのみ悪阻の経験がリスク因子となることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
探索コホートの解析は予定どおり完了しており、5-HT3RA + NK1RA + オランザピンの3剤併用制吐レジメンを対象とした2つの前向き臨床試験のコホートにおいても臨床データ及び血液検体の収集が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年に引き続き同様な研究体制で研究を継続し、シスプラチンレジメン及びAC療法を対象とした5-HT3RA + NK1RA + オランザピンの3剤併用制吐レジメンの有用性を評価するための臨床試験の症例集積・検体集積を進め、有効性の評価を実施する。
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