2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of gender and individual differences in chemotherapy-induced nausea and vomiting and comprehensive risk factors analysis
Project/Area Number |
20K07179
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
辻 大樹 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (90565615)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 化学療法誘発性悪心・嘔吐 / 遺伝子多型 / リスク因子 / 人種差 / 性差 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV)は患者のQOLを低下させる代表的な有害反応であるが、セロトニン受容体拮抗薬(5-HT3RA)やニューロキニン1受容体拮抗薬(NK1RA)の開発に伴いCINV予防は劇的な進歩を遂げた。近年ではオランザピンの臨床導入も進み、ガイドラインに基づく標準的予防制吐療法が広く実施されるようになってきている。しかしながら、未だ約40%の患者は治療開始から5日以内にCINVを経験している。CINV発現には性差及び個人差、人種差の存在が示唆されており、特にアジア人の女性ではCINV発現が高いことが経験的に知られている。 2022年度は探索コホートとして設定した、5-HT3RA+NK1RA+デキサメタゾンの3剤による制吐療法が実施された前向き臨床試験により収集した日本人患者414名のDNA検体を用いて、CINV発現との関連が報告されている遺伝子多型を解析し、National Center for Biotechnology Information (NCBI)のデータベースより収集したHapMap-CEU(欧米人種)の遺伝子多型頻度との比較を行った。 急性期のCINV発現に影響することが報告されている遺伝子多型ではABCB1(rs2032582, rs1045642)、HT3C(rs6807362)、CYP3A4(rs2242480)が、欧米人種との比較で多型頻度が有意に異なっていることが示された。また、遅発期のCINV発現に影響することが報告されている遺伝子多型ではTACR1(rs3755468)の多型頻度が有意に異なっていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5-HT3RA + NK1RA + オランザピンの3剤併用制吐レジメンを対象とした2つの前向き臨床試験(第Ⅱ相)の登録が完了し、有効性評価のためのデータ解析は完了している。また、血液検体の収集は完了しており、遺伝子多型解析の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
シスプラチンベースの化学療法を対象とした第Ⅱ相試験およびアンスラサイクリンベースの化学療法を対象とした第Ⅱ相試験で収集した血液検体を用いて、検証コホートでの解析を進め、制吐療法の応答性に関わる遺伝子多型の同定を試みる。
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