2020 Fiscal Year Research-status Report
Roles for the TRPVs channels in the lens in the initiation of presbyopia
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20K07184
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中澤 洋介 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (60411708)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 老視 / aging / 白内障 / 水晶体 |
Outline of Annual Research Achievements |
老眼(老視)は、罹患率ほぼ100%の眼疾患であり、QOL, QOV(Quality of Vision)を低下させる。白内障は世界失明原因の第一位であるが、老眼は白内障の初期症状であることが報告され、申請者は老眼の発症抑制が、白内障発症遅延を引き起こし、世界の失明から守ると推察している。老眼はこれまで水晶体タンパク質の変性・修飾反応による水晶体硬化が原因とされているが、その原因として、水の流動性不全による水晶体静水圧上昇が水晶体硬化を引き起こすことが報告されている。水晶体の水動態はNa濃度によって規定されており、それはNa/K ATPaseによって支配されている。水晶体ではNa/K ATPaseはTRPV1と4によって制御されていることが推察されており、申請者はTRPV1と4こそが老眼の責任タンパク質だと確信している。本研究では、浸透圧センサーとして知られているTRPVチャネルに着目し、水晶体における機能解明と老眼の発症への寄与を解明することを目的とした。 本年度は、外部環境変化に伴う、TRPVチャネルの活性・局在を検討した。その結果、ex vivoの検討において、浸透圧変化や温度変化に伴いTRPVチャネルの活性・局在が変化することを見出した。さらに、毛様体筋―チン小帯からの圧力変化によってTRPVチャネルの局在が変化することを見出した。さらに各週齢のマウスを用いて、加齢に伴うTRPVsの活性・局在変化を探索した。その結果、加齢に伴い、TRPVチャネルの膜移行能が低下していることを見出した。現在、加齢に伴う膜移行能低下と水晶体弾性度変化の関連性を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルスの影響に伴い、研究室の出入りが制限され、期待通りの研究遂行ができなかった。一方コロナ禍中においても、国内外の共同研究者とon line会議をすることで情報の共有を図ることができ、ある程度の入室制限解除後、スムーズに研究を遂行することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度、ある化合物が水晶体のTRPVチャネルの局在に影響を与えることを見出している。今後は、TRPVチャネルの下流分子(TRPV1-MEK/ERK-NKCC1、TRPV4-SFK-Na/K ATPase)の発現をin vivo, in vitroの両面から検討する。さらに、各週齢マウスに上記化合物を自由飲水させTRPVの膜移行を検討するとともに、水晶体弾制度を測定し、TRPVチャネルを標的とした老眼予防薬の探索を実行する予定である。
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Causes of Carryover |
【次年度使用額が生じた理由】 消耗品費や謝金等はほぼ事前計画通りの使用額であった。一方コロナウイルスの影響により、学会が中止、またはオンラインになったことを受けて、旅費が0円であった。また予定していたノックアウトマウスの譲受がコロナウイルス の影響で次年度となったことから、当初の計画ではなかった次年度使用額が発生した 【使用計画】 次年度は学会での成果発表を例年以上に計画しており、次年度使用額を使用する予定である。また、ノックアウトマウスやゼブラフィッシュの譲受予定であり、その飼育費に次年度使用額を使用する。
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