2020 Fiscal Year Research-status Report
薬局における口腔内環境チェックが及ぼす口腔ケアおよび歯科受診に対する行動変容効果
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20K07185
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩田 紘樹 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 助教 (50758927)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬局 / 薬局薬剤師 / 健康サポート / 口腔内環境 / 口臭測定 / 口腔ケア / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主に以下の2つの内容について研究を進めている。 1)薬局での唾液による口腔内環境測定の有用性の検討 我々の先行調査(1薬局にて実施)において、薬局来局者に唾液検査を行うことで、口腔セルフケア習慣や歯科受診行動を変容させる可能性が示唆されており、本結果を英文論文にまとめて投稿し、受理された(2020年12月)。今後の複数薬局での拡大調査を念頭に、研究デザインやプロトコールの検討を進めている。 2)薬局での口臭測定の有用性の検討 慶應義塾大学薬学部附属薬局の来局者に対して実施することを想定して、調査プロトコールやアンケート調査用紙、口臭に関する情報提供資料の作成を行った。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、薬局店頭での対面による調査実施を延期せざるを得なくなった。そこで、薬局での口臭測定に対するニーズをあらかじめ探るため、国民の口臭に対する認識及び薬局での口臭測定に対する関心度・ニーズをWebアンケート方式にて調査した。Webアンケート会社にパネルとして登録している一般生活者(医療従事者は除く)312名から回答が得られた。回答者の8割以上が口臭を気にしていると回答したが、洗口液や舌の清掃等の口臭対策の実施率は半数程度であった。薬局での口臭測定に8割の回答者が関心を示し、口臭のセルフケアに関するアドバイス等を薬剤師に期待していた。薬局での口臭測定の国民の関心度が高かったことから、薬局の健康サポートツールとして口臭測定の有用性を検討することの意義が示された。また、口臭測定だけでなく、合わせて薬剤師からの情報提供やアドバイスのニーズが高かったことから、行動変容を促すためには情報提供等も充実させる必要があることが推測され、今後の口臭測定実施に向けて有用な結果が得られたと考えられる。本調査結果は日本薬学会第141年会(2021年3月)にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では、薬局店頭にて来局者に対して口臭測定を行い、口腔セルフケアや歯科受診行動に与える影響を検証する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、対面調査であること、測定機器など研究者と被験者がともに接触する部分の消毒が万全にできる確証がなかったこと、また口臭測定時には一時的にマスクを外す必要があること等の理由から、調査実施の延期することとした。その後も感染状況は鎮静に至っていないが、ソーシャルディスタンスの確保やマスクに加えてフェースシールドやアクリル板の使用など、感染予防策も確立されてきていることから、次年度は対策を講じた上で実施の準備を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
薬局での口臭測定の有用性の検討について、研究デザイン及び調査プロトコールの作成を行い、研究倫理委員会への申請を行っていく。複数店舗に協力を依頼し、参加薬局を介入群とコントロール群に分けることも検討する。今年度行った口臭測定のニーズ調査より、国民は薬局での口臭測定時に、薬剤師からの情報提供やアドバイスを求めていることが明らかになったことから、今年度作成した患者向け情報提供資料の内容をさらにブラッシュアップする。調査プロトコールにはフェースシールドやアクリル板の使用などの感染予防策も盛り込む。研究協力薬局には、慶應義塾大学薬学部附属薬局の他、東京都薬剤師会所属の薬局や、日本口腔ケア学会薬剤師部会の委員が所属している薬局などから選定することを予定している。倫理委員会通過後は、研究協力薬局に対して、プロトコールの説明及び事前の研修会を行う。2021年度中に調査の開始を目指す。 唾液による口腔内環境測定の有用性の検討についても、引き続き研究デザインを検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、薬局店頭での対面による調査実施を延期せざるを得なくなり、当初予定していた口臭測定機器(約80万円)の購入を次年度に持ち越すこととした。次年度は、感染予防策を講じた上で口臭測定を実施することを考えており、口臭測定機器の購入も行う予定である。
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