2021 Fiscal Year Research-status Report
薬局における口腔内環境チェックが及ぼす口腔ケアおよび歯科受診に対する行動変容効果
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20K07185
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩田 紘樹 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (50758927)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薬局 / 薬局薬剤師 / 健康サポート / 口腔内環境チェック / 口臭測定 / 口腔ケア / 行動変容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では主に以下の内容について研究を進めている。 1)薬局での唾液による口腔内環境チェックの有用性の検討:我々の先行調査(1薬局にて実施)をもとに、複数の薬局での拡大調査の研究デザインやプロトコールの検討を行っている。1日の中の適切な測定タイミングを考えるために、唾液による口腔内環境チェックに対する食事の影響を検討したところ、酸性度や白血球、アンモニアは食事で数値が低下し、食後30分~2時間程度で回復してくることが示された。このことから、食後2時間以上経過した状態で測定することが望ましいと示唆された。なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、保険薬局の業務多忙、また測定時に被験者がマスクを外す必要があることから、研究協力を依頼することが難しい状況が続いている。 2)薬局での口臭測定の有用性の検討:口臭測定器オーラルクロマを購入し、薬局来局者に対する測定実施に向けて測定条件を検討した。口臭には日内変動があることから各成分に対する食事の影響を検討したところ、硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドいずれも食直後に減少し、1~3時間後に回復することが確認された。ただし、飲食をしていないタイミングでも測定値が大きく変動することもあり、より詳細な検討が必要である。 3)薬局薬剤師に対する口腔内症状への対応の現状や認識の調査:2021年3月に薬局薬剤師324名を対象にwebアンケート調査を行い、2021年度は集計・解析を行った。「日常的な口腔トラブルや口腔ケアへの対応」を薬局薬剤師の役割と認識する割合は66%に上ったが、対応に「自信がある」「やや自信がある」と答えた割合は低かった。およそ6割が口腔に関する知識不足を感じており、薬剤師向けの口腔領域の教育・研修のニーズが76%と高かった。本調査結果は日本社会薬学会第39年会(2021年9月)にて口頭発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定では、複数の薬局に研究協力を依頼して来局者に対して口腔内環境チェックを行い有用性を検証する予定であったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、保険薬局の業務多忙、また測定時に被験者がマスクを外す必要があることから、研究協力を依頼することが難しい状況が続いている。口臭測定については、飲食や会話など測定値に影響する要因が多いことから、研究として実施するには、より詳細な条件検討が必要となる。一方で薬局薬剤師に対する口腔内症状への対応の現状や認識に関するwebアンケート調査では、結果の集計、学会発表まで行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
薬局での口臭測定の有用性の検討については、引き続き測定条件などを検討し、研究デザイン及び調査プロトコールの作成を行っていく。薬局薬剤師に対する口腔内症状への対応の現状や認識に関するwebアンケート調査については、結果を英文論文にまとめて論文投稿を行う。また、新型コロナウイルス感染症の影響から、薬局来局者の口腔内環境を質問紙で簡便に評価できる手法の導入も検討していく。候補として、高齢者の口腔機能の低下として近年注目されているオーラルフレイルについて、既に広く利用されている質問紙を使用し、合わせて情報提供を行うことで、オーラルフレイル予防に対する意識・行動に変化が見られるか検証することを考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、学会がすべてweb開催となり、予定していた旅費の支出がなかった。薬局店頭での対面調査が難しく、口腔内環境チェック用の試薬の追加購入がなかった。論文投稿を行うことができず、英文校正費や投稿料・掲載料の支出がなかった。2022年度は現地開催の学会も実施される見込みのため、旅費を支出する。論文投稿も行っていく。新たにオーラルフレイルに関する薬局店頭での調査を行い、追跡調査のための郵送料などにも使用する。
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