2022 Fiscal Year Research-status Report
薬局における口腔内環境チェックが及ぼす口腔ケアおよび歯科受診に対する行動変容効果
Project/Area Number |
20K07185
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岩田 紘樹 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 講師 (50758927)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 口腔内環境測定 / 薬局 / 健康サポート / オーラルフレイル / 口腔ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
1)薬局での唾液による口腔内環境測定に関する検討 我々の先行調査において、歯科医師を対象に薬局での唾液による口腔内環境測定に対する認識を尋ねたところ、約85%の歯科医師が肯定的に考えていることが明らかとなった。本結果を英語論文にまとめて投稿し、受理された(2022年12月発表;10.研究発表に記載)。 2)薬局でのオーラルフレイル予防啓発の有用性に関する検討 「口腔機能の低下」を意味するオーラルフレイル(OF)は、要介護や死亡のリスクとの関連も示されており、早期からの対応が必要である。本研究では、慶應義塾大学薬学部附属薬局の啓発イベントとして、Oral Frailty Index-8(OFI-8)によるセルフチェック及びOFの知識と予防方法に関する情報提供を行い、OF予防に対する意識や行動への効果を検証した。OFI-8による評価は、被験者の15%がOFの「危険性あり」、40%が「危険性が高い」であり、60代以上で高リスクの割合が高かった。OFの名称の認知度は31%にとどまり、啓発の必要性が示唆された。イベント2週間後の追跡調査により、OF予防のための口の体操を知らなかった48名のうち50%が体操を継続実施していた。また、OFについて歯科医院で相談したことのなかった61名のうち、5%が実際に相談を終え、75%が相談を予定していた。以上の結果より、啓発イベント参加者のOFの認知度は低く、リスクのある者が半数以上であったことから、薬局でOFの周知・啓発を行う意義は大きいと考えられた。また、イベント実施後にOF予防に対する意識の改善や予防方法の継続実施が確認できたことから、薬局は啓発イベントを通じ、地域住民のOFの予防に寄与できると考えられる。本調査結果は日本薬学会第143年会(2023年3月)にて口頭発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を英語論文としてまとめることができた。新型コロナウイルス感染症の影響で、マスクを外して行う必要のある口腔内環境測定の研究を薬局の規模を拡大して実施することは難しかったが、質問紙によるオーラルフレイルのセルフチェックツールを活用した効果検証を薬局にて実施することができ、一定の成果が得られた。
|
Strategy for Future Research Activity |
補助事業の期間延長申請を行った。これまでに得られた研究成果をまとめ、学会発表や学術論文投稿を行い、研究成果の発表を行っていく予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、薬局店頭での口腔内環境測定の研究実施が難しく、測定試薬の購入が少なかった。また、国際学会への参加が難しく、旅費の支出が抑えられた。次年度は英語論文2報の投稿を予定しており、英文校正費や投稿料に使用する。
|