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2021 Fiscal Year Research-status Report

ドラッグ・リポジショニングを活用した大腸がん化学療法に伴う有害事象の回避法の確立

Research Project

Project/Area Number 20K07198
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

川尻 雄大  九州大学, 薬学研究院, 助教 (30621685)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小林 大介  九州大学, 薬学研究院, 講師 (00403973)
Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords抗がん薬 / 末梢神経障害 / 手足症候群 / オキサリプラチン / カペシタビン / ドラッグ・リポジショニング / プロトンポンプ阻害薬
Outline of Annual Research Achievements

昨年度までにオキサリプラチンの末梢神経障害に対しては、対症療法薬の候補として疎経活血湯が、予防薬の候補としてアミノ酸製剤シスチン・テアニンが、カペシタビンの手足症候群に対しては、オメプラゾールなどのプロトンポンプ阻害薬が抑制効果を有する可能性が基礎研究と医療情報データベースの解析で明らかとなっている。
該当年度における検討により、プロトンポンプ阻害薬であるオメプラゾールは、オキサリプラチン誘発末梢神経障害ラットモデルにおいて、坐骨神経の変性(円形度の低下)および機械的アロディニアの発現を有意に抑制することが明らかとなった。また一方でC26(マウス大腸がん細胞)担癌マウスにおいて、オメプラゾールの投与は、オキサリプラチンの腫瘍増殖抑制作用に影響を与えなかった。さらに、医薬品有害事象データベースであるFDA Adverse Event Reporting System (FAERS)の解析において、オメプラゾールの併用によりオキサリプラチンに関連する末梢神経障害の報告が有意に少なくすることが明らかとなった(報告オッズ比(95%信頼区間):0.45(0.33-0.62), P<0.001)。また、オメプラゾール以外にもパントプラゾールやラベプラゾール、いずれかのプロトンポンプ阻害薬の併用によっても、同様にオキサリプラチンの末梢神経障害の報告が有意に少なくなることが明らかとなった(報告オッズ比(95%信頼区間)、パントプラゾール:0.54(0.41-0.72)、P<0.001、ラベプラゾール:0.31(0.12-0.84)、P=0.015、いずれかのプロトンポンプ阻害薬:0.66(0.57-0.77)、P<0.001)。以上より、プロトンポンプ阻害薬はオキサリプラチンの末梢神経障害の予防としても有効な選択肢となりうる可能性が考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

大腸がんの化学療法の有害事象のうち、オキサリプラチンの末梢神経障害に対しては、対症療法薬の候補として疎経活血湯が、予防薬の候補としてアミノ酸製剤シスチン・テアニン、プロトンポンプ阻害薬がそれぞれ基礎研究で同定された。プロトンポンプ阻害薬については、医療情報データベースの解析においても、オキサリプラチンのお末梢神経障害の報告を少なくする可能性が示された。さらに、プロトンポンプ阻害薬は、カペシタビンの手足症候群に対しても抑制効果を有する可能性が基礎研究と医療情報データベースの解析で明らかとなっている。これらの成果はすでに論文5報や学会等で公表している。一方で、末梢神経障害の改善薬の評価を行うための、臨床での診療録の後方視的検討も、目標1,000症例のうち200症例の解析が終えている状況である。
これらの状況を鑑みると、予定していた計画と比較しても概ね順調に進行していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

2021年度まで概ね計画通り進行しているため、2022年度以降も当初の経過通り、研究を推進する方針である。引き続き、オキサリプラチンの末梢神経障害に関しては、動物・細胞モデルをもちいた神経障害の発現メカニズムの解明とそのメカニズムに基づいた改善薬の探索を行う。同時に、医薬品有害事象データベースの解析により神経障害に有効な可能性のある薬剤を細胞・動物モデルでその神経障害抑制作用を検証する。並行して、神経障害抑制薬がオキサリプラチンの抗腫瘍効果に影響しないか培養がん細胞や担癌動物を用いて検討する。さらに臨床における診療録の後方視的調査研究を継続する。カペシタビンの手足症候群も同様に、これまでに引き続き発現メカニズムの解明とそのメカニズムの基づいた改善薬の探索、医薬品有害事象データベースを用いた改善薬の探索を並行して行う予
定である。最新の報告や臨床状況の変化等も反映しながら、適宜軌道修正をしながら進行していく予定である。

Causes of Carryover

予定していた物品の納入遅延のため、2,765円の次年度使用額が生じた。翌年度の請求額と合わせて予定通り使用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2022 2021

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] Use of omeprazole, the proton pump inhibitor, as a potential therapy for the capecitabine-induced hand-foot syndrome2021

    • Author(s)
      Hiromoto Shiori、Kawashiri Takehiro、Yamanaka Natsumi、Kobayashi Daisuke、Mine Keisuke、Inoue Mizuki、Uchida Mayako、Shimazoe Takao
    • Journal Title

      Scientific Reports

      Volume: 11 Pages: 8964

    • DOI

      10.1038/s41598-021-88460-9

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Preclinical and Clinical Evidence of Therapeutic Agents for Paclitaxel-Induced Peripheral Neuropathy2021

    • Author(s)
      Kawashiri Takehiro、Inoue Mizuki、Mori Kohei、Kobayashi Daisuke、Mine Keisuke、Ushio Soichiro、Kudamatsu Hibiki、Uchida Mayako、Egashira Nobuaki、Shimazoe Takao
    • Journal Title

      International Journal of Molecular Sciences

      Volume: 22 Pages: 8733~8733

    • DOI

      10.3390/ijms22168733

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] パクリタキセル誘発末梢神経障害に対するα1受容体拮抗薬の抑制効果2022

    • Author(s)
      森 皓平、川尻 雄大、峯 圭佑、井上 瑞季、久田松 韻生、小林 大介、島添 隆雄
    • Organizer
      日本薬学会 第142年会
  • [Presentation] がん化学療法誘発末梢神経障害の実際と対応策確立のための試み2021

    • Author(s)
      川尻 雄大、小林 大介、牛尾 聡一郎、江頭 伸昭、島添 隆雄
    • Organizer
      第14回 日本緩和医療薬学会年会
    • Invited

URL: 

Published: 2022-12-28  

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